血圧抑制に関わる健康食品とメディカルダイエット

血圧が上昇しすぎないようにするための成分というと、ナトリウムを排出する作用があるカリウムが注目されがちですが、その作用はナトリウムで血圧が上昇するナトリウム感受性が強い人にだけ関係することで、ナトリウム感受性が低いためにナトリウムの量に影響されない人の場合には、ナトリウムが多い食塩を減らしても血圧に変化が起こらないのです。そのような人に対して血圧降下作用が期待されているのはペプチドです。
ペプチドは、たんぱく質が消化酵素によってアミノ酸に分解される直前のアミノ酸が10個以上つながったものです。ペプチドには血圧を上昇させるアンジオテンシン変換酵素(ACE)の生産を低下させる作用があって、そのために血圧が下がるというわけです。ペプチドは食事で摂ったたんぱく質が胃の中にあるタイミングで摂ることによって効果が得られるので、摂取タイミングは食事の後ということになります。
血圧抑制作用のあるペプチドとしては、イワシペプチドとオリゴペプチドがあげられます。
イワシペプチドは、イワシのたんぱく質が酵素分解したペプチドで、サーディンペプチドとも呼ばれます。たんぱく質は通常は構成成分のアミノ酸まで分解されますが、ペプチドは2個から数十個のアミノ酸が組み合わされた大きな組成で、そのまま吸収されて体内で作用します。生理活性物質のアンジオテンシンⅠがアンジオテンシンⅡに変換されることで血圧が上昇しますが、イワシペプチドに含まれるバリルチロシンにはACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害作用と血管拡張作用があり、血圧降下作用があります。また、血液中のLDLコレステロール(低比重リポ蛋白)や中性脂肪を減少させる作用があります。ペプチドはアミノ酸よりも大きいため、血液中に保持される時間が長く、作用の持続性も認められています。一部の商品は、特定保健用食品として「血圧が高めの方に適した食品」の表示が認められています。
オリゴペプチドは、たんぱく質が酵素分解したペプチドで、アミノ酸が2~10個ほど結合しています。消化管プロテアーゼに耐性があり、ペプチド構造のまま吸収されます。オリゴペプチドに含まれるバリルチロシンにもACE阻害作用と血管拡張作用があり、血圧低下作用があります。これも一部の商品は、特定保健用食品として「血圧が高めの方に適した食品」の表示が認められています。