活性酸素は通常の酸素のプラスとマイナスの電子バランスが崩れたもので、不足している電子を細胞から奪うことで正常な酸素に戻ります。電子を奪われたものが細菌なら破壊されるため、活性酸素は免疫の一つと考えられています。細菌は一つの細胞だけで生息できる単細胞ですが、人間の細胞も一つひとつに注目すると細菌と変わりはありません。そのため、活性酸素の発生量が増えると身体の細胞から電子が奪われて、細胞が破壊されることになります。この破壊が進まないようにするための仕組みが身体には備わっていて、その役割をしている一つがビタミンです。
活性酸素に欠けている電子を与える作用によって活性酸素を消去する抗酸化ビタミンは、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEです。摂取タイミングですが、水溶性ビタミンのビタミンCは空腹時に摂っても吸収されるものの、脂溶性ビタミンのビタミンAとビタミンEは油脂に溶けてから吸収されるので、食事の後に摂るようにします。
ビタミンAは、皮膚や粘膜、目の健康を正常に保つのに欠かせない脂溶性ビタミンで、レチノールとも呼ばれます。前駆体であるβ‐カロテンが体内で分解されることでも生成されます。抗酸化作用があり、目が光を感じるために必要な網膜の色素のロドプシンの主成分となっています。不足すると粘膜が弱くなり、感染症にかかりやすくなります。脂溶性であるため体内に蓄積され、過剰症では嘔吐や頭痛、脂肪肝などが起こります。
ビタミンCは、皮膚や腱、軟骨などの結合組織を構成するコラーゲンの合成に欠かせず、皮膚や骨の健康維持、傷の修復に必要な水溶性ビタミンです。アスコルビン酸とも呼ばれます。腸管で鉄の吸収率を高め、抗ストレス作用がある副腎皮質ホルモンの合成を促進する作用があります。強い抗酸化作用によって過酸化脂質の合成の抑制、血管障害を予防する作用もあります。寒冷ストレスや喫煙によって体内で減少します。タバコを1本吸うと50mgが失われるとされます。
ビタミンEは、強い抗酸化力を持つ脂溶性ビタミンで、トコフェロールとも呼ばれます。有害な過酸化脂質の生成を防ぎ、LDLコレステロールの酸化を防いで動脈硬化を予防するほか、全身の細胞の老化を防ぐ作用があります。活性酸素によって酸化すると活性型ビタミンEとなり、体内の細胞から電子を奪う作用があります。活性型ビタミンEはビタミンCから電子を得て、通常のビタミンEに戻ります。そのため、合わせて摂ることで抗酸化力を高めることができます。