体内で発生した活性酸素を消去する仕組みとして、抗酸化酵素のSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)、グルタチオンペルオキシターゼ、カタラーゼが存在していますが、これらの酵素を働かせるためには補酵素が必要です。酵素は補酵素が補うことによって、本来の働きができるようになるということです。その補酵素となるのが亜鉛、セレン、鉄、銅、マンガンです。摂取タイミングですが、食事と一緒に摂ることで吸収されやすくなります。ただし亜鉛はアルコールで排泄量が増えるので、飲酒時の摂取を避け、翌朝に多く摂るようにします。
亜鉛は、栄養素の代謝や生命活動などに関わる化学反応に携わるミネラルです。200種類以上の酵素の構成成分であり、抗酸化作用を高めます。体内では皮膚、毛髪、肝臓、腎臓、睾丸、舌の味蕾などの新陳代謝が盛んな細胞に多く含まれます。不足すると新陳代謝の低下から皮膚炎、脱毛、爪の異常、味覚異常などが現れやすくなります。亜鉛は膵臓から分泌されるインスリンの構成成分で、インスリンの分泌量を調整して血糖値を下げる働きがあります。また、筋肉細胞がインスリンと反応してブドウ糖の取り込みを行う際に必要となります。免疫を高める働きも注目されています。
セレンは、微量元素の必須ミネラルの一種で、体内の過酸化物質を分解する酵素の成分であり、細胞の酸化を防ぐ抗酸化作用があります。血圧を調整するホルモンのプロスタグランジンを作るために欠かせず、セレンの補給で細胞の老化を遅らせ、生活習慣病を予防します。ビタミンEとともに摂取すると抗酸化作用が高まります。
鉄は、エネルギー代謝の酵素の構成成分となるミネラルで、赤血球の色素成分であるヘモグロビンの成分として酸素の運搬、細胞への酸素の取り込み、老廃物の炭酸ガスとの取り替えの機能があります。また、赤血球の生成とともに鉄欠乏性貧血の予防、免疫細胞の成長などの作用があります。体内では鉄は4~5gが含まれ、60%以上がヘモグロビンの中にヘム鉄の形で存在し、残りは肝臓、骨髄、脾臓などに蓄えられています。ヘム鉄は肉類に多く含まれ、野菜などに含まれる非ヘム鉄に比べると体内への吸収率は3倍以上となっています。鉄はビタミンCによって吸収が高められます。
銅は、微量元素の必須ミネラルの一種で、鉄の赤血球を作り出す働きを補助する成分であり、赤血球のヘモグロビンの合成には銅が含まれた酵素が必要になります。骨、筋肉、血液の中に約80mgが含まれます。体内の過酸化物質を分解する酵素(SOD)の成分であり、細胞の酸化を防ぐ抗酸化作用があります。
マンガンは、微量元素の必須ミネラルの一種で、骨の形成、消化の補助、糖質と脂質の代謝、成長や生殖を補助する成分であり、体内に12~20mgが含まれます。体内の過酸化物質を分解する酵素の成分であり、細胞の酸化を防ぐ抗酸化作用があります。吸収率は0.5~3%と低くなっています。