感染拡大から考える院内感染

院内感染というと、病院から感染することを指していますが、その感染源は病原菌などに侵された患者というイメージがあります。しかし、実際には感染源となっているのは医師や看護師などの医療関係者です。医師も看護師も常に病原菌に接することから、頻繁に消毒をしています。消毒によって病原菌が死んでくれればよいのですが、病原菌は全部が素直に退治されるわけではありません。生き延びるために変異をして強くなることがあります。また、消毒だけではなく、抗生物質などを使って対応したときにも変異をして対抗できるようになるものがあります。
こうして強くなった病原菌が医師や看護師の身体に入っても、免疫力が強い場合には、変異した病原菌に打ち克つことができるので病気にまでならないものの、免疫力が弱い患者には害をなすことになります。これが院内感染の一般的な広がり方です。
これに対して、新型コロナウイルスは医療関係者にも感染者が現れ、重症化していることを見ても、これまでの院内感染とは異なっています。病院内なら、感染をしないように注意をすることはできても、病院から外に出ると、変異した強いウイルスをバラまく感染源にもなります。医療機関で消毒をした結果、ウイルスが強くなり、その強くなったウイルスが持ち込まれると、その場が感染クラスターにもなります。新型コロナウイルスに対抗する方策が、かえって感染を拡大させる、いわば“院外感染”の温床となっているという考えです。
病院内を消毒することによって感染力が強まるからといって、消毒をするなと言っているわけではありません。もちろん消毒は必要で、消毒によって感染リスクを低下させることも重要です。そのように感染リスクが高まるということを知って、医療関係者は特に自分の行動を注意する、医療関係者であることがわかったら注意して付き合う必要があります。病院から外に出たら、病院関係者であることは一般にはわからないので、やはり医療関係者に注意をしてもらうのが一番だということです。