新型コロナウイルスが発達障害児に与える不安の影響

発達障害の人はパニック状態に陥りやすいところがあり、その家族もパニックに弱いことが指摘されています。今回の新型コロナウイルス感染のように正体がわからず、先行きが見えない状態が続いていると、不安が高まるのは仕方がないことです。一般の人でも不安に駆られて、マスク購入だけでなくトイレットペーパーの購入に走ってしまうような状況では、発達障害の人は不安を通り越して、パニックにもなりかねないということです。
新型コロナウイルスが発生してから発達障害の影響については、さまざまな機会で語られていますが、LITALICO発達ナビは発達障害児の保護者に「新型コロナウイルスによる休校措置についてのアンケート」を実施しています。ウイルスによる親子のメンタル面への影響は、「急な環境変化により子どもが不安定になる」が48.0%、「24時間、子どもと過ごすことによるストレス」が42.3%、「急な環境変化により、保護者が不安になる」が35.8%という順でした。
子どもの反応を不安に感じているのが最も多くなっているものの、続くのは親のほうの不安となっています。これは子どもよりも自分のことが重要ということではなくて、子どもの不安が、そのまま親の不安になっているということがわかります。
発達障害児は新型コロナウイルスに対して、よく理解していないようであっても、社会的な不安が高まると、全体の雰囲気がピリピリしてきて、その変化に発達障害児は過敏に反応するようにもなります。電車で乗客が吊革や手すりに触れると、そこからウイルス感染するのではないかと除菌したり、ハンカチやティッシュを使わないと触れられないというのは一般的な対策としては正しいことであっても、発達障害児の中には、それを厳しく言われると対応できなくなってしまうことがあります。感染防止のためのマスクも触覚過敏の子どもにはとても苦しいものです。苦しくてマスクができないという子どもを見ると、その親だけでなくて子どもにもマスク着用を厳しく注意する人がいますが、それが発達障害児に何を起こすのか、そこをしっかりと考えてほしいのです。