感染拡大から考える高齢者の健康と寿命

新型コロナウイルスの高リスク層は免疫力が低い人、基礎疾患(高血圧症、糖尿病、脂質異常症による心疾患や脳血管疾患など)がある人、高齢者となっています。高齢者は免疫力が低くなり、病気になる人も増えていきます。免疫力は20歳代をピークに下がり続け、80歳ではピーク時の10%にも低下していると言われます。一生涯にかかる国民の医療費は厚生労働省から生涯医療費として毎年平均が発表されていますが、50代後半から医療費は急に増えて、70歳前後がピークになっています。
日本人の平均寿命は男性が81.25歳、女性が87.32歳となっています。これは平均なので、70歳代で亡くなる人も多く、そのために70歳をすぎると生涯医療費は徐々に少なくなっていきます。新型コロナウイルスは、この年齢層の感染者が多い、感染すると重症化しやすいということが注目されがちですが、今回の感染拡大の騒動で、高齢者が行き場を失っています。
感染拡大を抑えるために学校の休校があり、そのことが報道でも中心となっていましたが、感染しやすい高齢者を守るために、高齢者を預かって介護する施設では家族の面会も中止、高齢者を入院治療する病院では家族以外はお見舞いも禁止、高齢者が集うデイサービスも中止、高齢者を訪問して介護をする訪問介護も中止といったことが相次いでいます。高齢者が出歩く機会が増えることは、健康の維持につながり、平均寿命の延伸につながっています。
8020運動という80歳になっても20本の歯を残そうという厚生労働省と日本歯科医師会による健康づくり運動は、おいしいものを食べることができる状態を保って、外出の機会を増やすことで健康を維持することを目指しています。高齢者を対象とした施設だけでなく、外食店も観光地も出かけないように言われ、ましてや高齢者は出歩かないように言われる状況では、高齢者の健康度が大きく低下することが懸念されているのです。