科学的な説明をさせると信じやすいということは以前からあったことです。科学的な説明をしたほうが商品が売れやすい、サービスが受け入れやすいということで、商品販売、サービス提供の手法として、もっともらしい説明をしていることが目立っています。これはニセ科学と呼ばれていますが、その一つとしてあげられるのが「好転反応」です。好転反応というのは、身体によいものを摂ると、改善する前に一時的に悪い状態になることを指しています。
身体の中に蓄積されている有害物質を排出するものを摂った場合には、一時的に排出量が増えるために、皮膚からも排出されて、皮膚が赤くなる、かゆみが出るといった症状が現れることがある、といった説明をされています。だから、ある成分を摂取したことによって反応が起こったら、これは身体にとってよい反応なので、成分の摂取を続けるべきだと主張しているわけです。
普通の感覚なら、何かの成分を摂って普段とは異なる反応が出たとすると、これは副作用ではないか、アレルギーではないか、と考えるのは当たり前の反応のはずです。ところが、よくなる前の悪い反応という説明を受け入れてしまいがちです。というのは、好転反応は以前からあった言葉で、思った以上に浸透しています。東洋医学では好転反応は教科書にも載っていることで、漢方薬では当たり前のように起こっていることだからです。
発達障害の改善については好転反応が起こるかということですが、改善する前に一時的であっても悪い状態になるということはあってはならないことです。自閉症スペクトラム障害で外部との交流が苦手な人を無理に交流させたとすると、当然の反応として状態が悪くなることもあります。本来ならやるべきではないことをやって、よくない状態になっても、これが改善される前兆だと思い込んで続けてしまったら、どんどん悪くなる方向に進むことが考えられます。しかし、好転反応のようなことを主張する人は少なくなくて、しかも治療やコンサルタントを仕事としている人にもいます。
こういった不安を感じたときに相談することができる、身近な存在であり、しかも科学的に的確に返答してくれる存在は重要であると考えています。