発達障害児のための通級指導ガイド

文部科学省は「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」を作成して、これを一般にも広めるためにWEBにも公開しています。通級による指導は1993年の学校教育法の改正によって小学校と中学校において制度化されたもので、このガイドの中には発達障害についても解説されています。
自閉症については、「①他人との社会的関係の形成の困難さ、②言葉の発達の遅れ、③興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする発達の障害である。その特徴は、3歳くらいまでに現れることが多いが、小学生年代まで問題が顕在化しないこともある。中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定されている」と紹介されています。
自閉症のある子どもの教育的ニーズについてですが、早期からの教育的対応の重要性として、以下のようにまとめられています。
自閉症は、多くの場合は乳幼児期の健康診査(乳幼児健診)などで、周囲の大人や子どもに対する関心のあることや音に対する過敏性、鈍磨性の様子などから指摘されることがあります。ただし、音に対する反応だけから自閉症であることが疑われることは稀で、乳幼児期に気づかれるのは言葉の遅れや働きかけへの反応の乏しさ、マイペースな行動などが多いとされていることから、このことへの留意が必要となっています。幼児期になって、幼稚園などの就学前機関で同年代の友達との関わりや小集団での生活が始まると、自閉症の特性から生じる生活上の困難さと、それへの対応の難しさが現れる場合が多くなっています。
自閉症の教育的対応は、当初は困難であることが多いと指摘されています。それは親密で安定した情緒的な関係を築くことの難しさ、こだわりや興味・関心のある限定による集団生活の難しさ、周囲が受け入れられない行動への対処の難しさが見られるからで、その他にも刺激に対する過敏性や行動上の問題(自傷行為や睡眠障害など)などへの対応が困難であるからです。
成長を促すため、適切に対応する上では困難さを理解することが特に重要であるとしています。