日本の食料自給率は37%となっていますが、これはカロリーベース総合食料自給率です。生産額ベース総合食料自給率では66%となっているものの、相当な量が海外に頼っていることがわかります。海外から、わざわざ運んできても安く提供できるのは、どこまで安い食品を購入しているのかと不安に感じるかもしれませんが、これまでは安く輸入できる体制があったから海外から多くの食品を入れることが可能でした。
日本から海外に自動車を大量の輸出していたときには、帰りの空の船に食料を大量に積んで運んでくることができました。そのために輸入にかかる運送費を減らすことができたわけです。ところが、自動車に必要な部品が中国で製造されていて、新型コロナウイルス感染拡大によって、その輸入が止まったことから国内の自動車工場が操業停止に追い込まれています。製造が減っていることに加えて、新型コロナウイルスが蔓延する各国は販売会社が閉店する、景気後退から自動車の買い控えが起こる、そもそも自動車を購入に街に出る人がいない、ということから、海外に向かう輸送船が減っています。その影響で、海外から食品を運ぶにしても、余計に輸送量がかかります。
日本の輸入食品で最も大きな割合を占めているのは中国です。農産物の生産も流通も止まったような状態になって、中国国内での必要性が高まり、国内消費に回って、輸入量は大きく低下しました。これは他の国でも同じ状況です。
外出自粛、自宅待機の状況になることから、慌てて食料品を買いに走る姿、店舗の棚から食品が消えるシーンが報道されて、余分なものまで買いに並ぶ人が増えました。そのときに、販売店からは「食品は毎日運ばれてくるから大丈夫」という声が聞かれました。しかし、それは目先の話であって、長期的に海外から大量に、しかも安く食品が届く状況が変化していることを考えると、ずっと安心ということは言えないということです。