新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための「No!3密」が叫ばれてから、他人との間隔を気にかける人が増えました。人間関係を深めるためには距離を詰めるのが重要であると言われても、密着と密接が怖いとなると、離れて暮らすしかなくなります。発達障害を例にあげるまでもなく、他人との交流が苦手な人が急増している時代には、できるだけ交流の機会を増やすことが重要とされていますが、それができなくなっているのが感染拡大の社会状況です。
密接をするのだったら、会話によって感染しないようにマスクをするように言われます。マスクの感染予防の効果としては、WHO(世界保健機関)は新型コロナウイルスの感染拡大期における布マスクの使用は「いかなる状況においても勧めない」と助言しています。布マスクは織り目のサイズが大きいために飛沫による感染を防ぐフィルター効果はないというのが、その理由です。
布マスクには感染を防ぐ効果はなくて、自分の感染を他人に広げない効果しかないという認識です。だから、アベノマスクと揶揄されることもあるガーゼマスクは、通常の布マスクよりも織り目のサイズが大きいので、そんなものを配布されても仕方がないという声も少なくありません。WHOが効果がないと言っているのに、日本でガーゼマスクを各世帯に2枚ずつ配布するということに対して助言した人は医療専門家、感染学専門家なのか、その疑問も抱かれています。
しかし、WHOが助言しているのは全世界の国民に対してではなくて、医療関係者などの感染者と多く触れ合い、感染のリスクが高く、院内感染のクラスターになりかねない人に対するものと主張している人もいます。これに従うなら、3密の密閉空間、密着環境を避けられる人なら、布マスクであっても感染リスクは減らせるということになるのですが、それを真に受ける人は多くはないはずです。
こうなったら配布されるマスクには頼らずに、少なくとも不織布のマスクを使う、医療用のサージカルマスクを手に入れる、できることならN95と呼ばれる防護マスクを手に入れるという方法しかないのかとは思うものの、不織布マスクすら手に入らない状況では、不安が続くのは当然のことで、その不安が発達障害者に限らず、国民的なパニックを引き起こしかねないということです。