自閉症の子どもの教育の場と教育機能

文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、自閉症の子どもの教育の場と提供可能な教育機能について紹介されています。
自閉症・情緒障害特別支援学級の対象は、初等中等教育局長通知(平成25年)によって、自閉症・情緒障害者は「①自閉症又はそれに類するもので、他人との意思疎通及び対人関係の形成が困難である程度のもの。②主として心理的な要因による選択制かん黙等があるもので、社会生活への適応が困難である程度のもの」と示されています。
「他人との意思疎通及び対人関係の形成が困難である」とは、一般にその年齢段階に標準的に求められる限度などによる意思の交換が困難であるということです。知的障害を伴う自閉症の特性として、言語がまったくなかったり、言葉の発達の遅れや特異な使用が見られたりします。また、身振りなどで意思を伝達することが不得手であったり、質問に対して質問分のまま返したりなどの傾向が見られます。そうした相手からの言葉の意味を理解したり、それに応じた意思を伝達したりすることができないか、または可能であっても他人との会話を開始し、受け答えをしながら継続する能力に明らかな困難性があることをいいます。
「対人関係の形成が困難」とは、他人から名前を呼ばれたことに気がついて振り向く、他人からの働きかけに応じて遊ぶ、自分や他人の役割を理解して協同的に活動する、他人の考えや気持ちを理解して、友達関係や信頼関係を形作ることなどが一般にその年齢段階に求められる程度に至っていない状態のことをいいます。
「社会生活への適応が困難」とは、他人と関わって遊ぶ、自分から他人に働きかける、集団に適応して活動する、友達関係を作って協力して活動する、決まりを守って行動する、他人と関わりながら生活を送ることなどが、一般にその年齢段階に求められる程度に至っていない状態のことをいいます。