脳血流促進に関わる健康食品とメディカルダイエット

脳血流促進に作用する成分は、認知機能に関わる海馬などの脳の各器官に運ばれる血液を増やし、認知機能の低下を抑えます。摂取タイミングとしては、他の成分に吸収が阻害されないように、起床時か就寝前の空腹時に摂ります。
ナラタケ菌糸体はナラタケ(楢茸)の根に当たる部分で、ナラタケはハラタケ目シメジ科ナラタケ属に分類される食用キノコです。漢方製剤として用いられているのは中国名では天麻密環菌で、天麻はオニノヤガラ(鬼の矢柄)を指します。オニノヤガラはラン科の多年草で、ナラタケに寄生しています。ナラタケはオニノヤガラの塊茎に寄生しています。お互いに寄生して、栄養成分をやり取りしている関係で、オニノヤガラは滋養豊富で、塊茎(土の中で大きく丸くなった茎で、ジャガイモでは食用部分)を乾燥させたものが漢方素材の天麻となっています。漢方薬(生薬)としての天麻は、鎮痙剤、強壮剤のほか麻痺、神経衰弱、頭痛、眩暈の改善に用いられています。
オニノヤガラと共生するナラタケの菌糸体は根のように張り巡らされた糸状の菌の集合体で、菌糸体から生まれる子実体が食用となっています。ナラタケは子実体となった後に、オニノヤガラに栄養成分を吸収されることになりますが、その前のオニノヤガラに寄生している菌糸体は子実体を作る前の栄養が最も豊富な状態であり、そのナラタケ菌糸体が漢方の医薬品成分として使われています。中国では医薬品(薬局で販売される第二類医薬品)として使われていますが、健康食品として日本での販売が許可されています。ナラタケ菌糸体は、骨髄細胞障害を保護する作用と脳の血流、冠状動脈の血流の増進、脳卒中の改善、脳動脈の治療効果、これらの改善効果が組み合わされることによる軽度認知障害の改善効果が実証されています。
ラクトトリペプチドは、カルピス酸乳の研究によって発見され、乳カゼインが乳酸菌で発行分解される過程で生成された3つのアミノ酸がトリペプチドで、ラクトトリペプチドは1つのバリンと2つのプロリン(バリン‐プロリン‐プロリン)、2つのイソロイシンと2つのプロリン(イソロイシン‐プロリン‐プロリン)の2種類のトリペプチドの総称です。ラクトトリペプチドには血管の収縮に関係するアンジオテンシン変換酵素を阻害する働きがあり、高めの血圧を下げることや、血管内皮機能を改善する働きがある成分です。
疾患のない中高齢者64名をサプリメント群と運動(30〜45分間のフィットネスバイクとウォーキングの運動教室に週4〜6日参加)を併用する運動+サプリメント群に分けて、それぞれ半数にはラクトトリペプチド、半数には効果のないプラセボを8週間摂取してもらいました。その結果、ラクトトリペプチドの摂取で左右の前頭前野の脳活性化が向上し、左前頭前野の脳活性化の上昇が認知機能の向上と関連することが認められ、さらに運動によって活性化が向上することが確認されています。