注意欠如・多動性障害に必要な指導内容2

文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、注意欠如・多動性障害のある子どもの指導に当たって、前回に続いて指導内容について紹介します。
④忘れ物を減らすための指導
忘れ物が多かったり、日々の活動で忘れっぽい場合には、興味のあるものとないものなど事柄によって違いがあるのか、日常的に行うものとそうでないもので注意の選択に偏りがあるのかなど、その実態を把握した上で、その子どもに合ったメモの仕方を学ばせ、忘れやすいものを所定の場所に入れることを指導するなど、家庭と連携しながら決まりごとを理解させ、その決まりごとを徹底することによって定着を図ります。
⑤順番を待ったり、最後までよく話を聞いたりするための指導
順番を待つことが難しかったり、他の人がしていることを遮ったりしてしまう場合には、決まりごとは理解しているのか、理解しているのに行動や欲求のコントロールができないのかなど、その要因を明らかにした上で、決まりごとの内容と意義を理解させ、その徹底を図る指導を行います。その際には、例えばロールプレイを取り入れ、相手の気持ちを考えることや、何かやりたいときに手を挙げたり、カードを指示させたりするなどの工夫をします。
⑥各教科の補充指導
子どもの状況などに応じて、注意欠如・多動性障害の状態の改善・克服を図る特別の指導のほか、各教科の補充的な学習をすることも効果的である場合があります。これは、障害のない子どもに対して一般的に行われる個別指導での「発展的な学習」や「補充的な学習」とは異なり、注意欠如・多動性障害が原因となって各教科の学習につまずきがみられる場合に、各教科の補充指導を行うものです。
⑦その他の指導
注意欠如・多動性障害に起因する社会的活動や学校生活を営む上での困難は、それ自体にとどまらず、場合によっては、それらが複合化されて他のさまざまな困難へ結びつくことがあります。例えば、多動性・衝動性によって順番を待つなどの社会的なルールがわかっていても、そのとおりに行動できなかったり、思ったことを、そのまま発言してしまったりすることによって、ソーシャルスキルの習得、コミュニケーション能力の発揮や対人関係の形成などにおける困難となって現れる場合があり、これらに対応することも重要です。例えば、相手の行為に対して怒りの感情が生じたときに、自分の気持ちを適切に伝えたり、その感情を抑制したりするための方法を教え、練習しておくことは、対人関係を良好に保つ上で効果的です。