歩くことは筋肉強化や心肺機能の向上だけでなく、免疫力を高めるためにも必要なことです。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための外出自粛から歩数が大きく減ったことから、国民的な免疫力の低下が懸念されています。リンクアンドコミュニケーションが緊急事態宣言の前後で歩数の変化を調査しています。対象者は同社が運営するAI健康アプリのカロリーママ、カラダかわるNavi、カラダかわるNavi for スポーツクラブのユーザーです。
1日に3000歩未満の人は、緊急事態宣言の前では20.1%でしたが、後では28,4%に増えていました。国民健康・栄養調査(平成29年)では、平均歩数は6322歩で、20〜64歳では7121歩となっていました。国民の健康目標を示した「健康日本21」の歩数の目標は、男性が9000歩、女性が8500歩となっています。もっと歩くことで健康づくりを図ろうとしているわけですが、3000歩未満というと平均の半分以下です。3000歩未満では平均して90kcalほどの消費エネルギーが不足しているとされていて、これはエアロビクス17分に相当すると言われています。これだけの運動量が不足したのでは、身体に影響が出てくるのは当然のことといえます。
また、タニタが東京都内にオフィスがある大手企業の社員約100人を対象に緊急事態宣言の前後で歩数調査を行っています。前には1日に1万1500歩も歩いていましたが、通勤からテレワークに変更になったことで1日当たりの歩数が30%ほど減り、中には1日に3000歩と70%も減っているという結果になっていました。
早稲田大学スポーツ科学学術院では、歩数と免疫力の関係を調査しています。免疫の指標とされたのはウイルスが粘膜に侵入するのを防ぐ唾液の中の分泌型免疫グロブリンAで、平均71歳の284人を対象に分泌速度が調べられました。高齢者の1日の歩数を4分割して調べたところ、2番目(5968〜7673歩)で分泌型免疫グロブリンAが最も速く分泌されていて、1日に7000歩程度が免疫力を高める歩数ということがわかりました。