ウォーキングをするときには飲料水を持参して、喉の渇きを感じる前に水分補給をするように言われます。歩いていると汗が出てきます。季節によっては発汗に気づきにくいこともありますが、運動をして体温が上昇すると体温を下げるために汗が出て、気化熱によって徐々に体温が安定してきます。そのこともあって、歩くと水分が失われると思われがちですが、運動をすると全体的には水分量が増えていきます。
体内の水分の割合は、子どもでは約70%、成人では60〜65%、高齢者では50〜55%と言われています。成人の場合には1%の水分が失われると喉の渇きを感じて、強い喉の渇きを感じているときには2%以上の水分が失われています。高齢者は水分量が少ないため、喉の渇きを感じてから水を飲んだのでは間に合わないこともあるので、早めの水分補給が求められるわけです。
ウォーキングをすると水分量が増えるというのは、過剰な運動に比べると失われる水分が少ないうえに、運動による代謝水が増えることがあげられます。代謝水というのは、細胞の中にあるミトコンドリアというエネルギー産生の小器官でエネルギーが作り出されるときに発生する水分です。ミトコンドリアではTCA回路があり、ブドウ糖や脂肪酸をエネルギー源としてエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が発生するのと同時に二酸化炭素と水が発生します。その水が代謝水です。その量は1日に250〜300mlとされています。
1日に体外に排出される水分は1500mlとされていて、代謝水を除いた分を飲み物と食べ物から摂る必要があります。通常の代謝水の量は平常時の発生量で、運動をすると多くのエネルギーが作り出されるので、代謝水も増えていきます。研究では20〜40%ほど増やせるという結果も得られています。運動が不足すると、どうしても代謝水が少なくなるので、それを補うように多めに水を飲むようにしないといけないことが、このことからわかります。