マスクをつけてのウォーキング

新型コロナウイルスの感染拡大から、外出するときにはマスクの着用が常識になってきました。“新しい生活様式”でもマスクの着用が第一にあげられ、「マスクがほしくても手に入らない状況を放置しておいて、その提言はないだろう」という意見も多く聞かれました。熱中症が多くなる5月以降は、マスクなしでも普通に歩くだけで息苦しさを感じる人もいます。そんな暑く感じるときにジョギングをするときにもウォーキングをするときにもマスクの着用が推奨されています。
心肺機能を高めるために、わざとマスクをして走らせる、歩かせるというのは、これまでも行われてきました。体力的に低下している人や高齢者では危険性もあるので、5月以降はやられてこなかったのですが、新型コロナウイルス対策ということで歩くときにもマスクは必要となりました。外出自粛が続く中で歩数が減り、これが体力的にも筋肉の量においても問題になってきて、健康維持のために歩こうという人も増えてきました。
マスクを着用してのウォーキングは、走るのと比べると息苦しいというところまでは行かないものの、熱中症対策ということでは問題があります。というのは、マスクをしていると呼気が外に出にくくなるので、喉の渇きを感じにくくなります。喉の渇きを感じたときには体内の水分が1%減っている状態といいます。この1%というのは全体量の1%ではなくて、60%とされる体内の水分の1%、つまり2%ほどの減少ということです。
熱中症にならないための水分を補給するタイミングを知らせてくれる喉の渇きが感じにくくなるということは、危険な状況で歩くことになります。都市部では空気汚染、環境汚染を心配して、以前から暑い季節でもマスクをして歩いている人は多くいました。これを続けてきた人は、マスクをしていても水分補給のタイミングを把握できていたので、まだ安心かもしれません。感染防止から初めてマスクをして暑い季節に歩く人は、頻繁に水分補給をすることを心がけないと危険になります。
熱中症は血栓を作って、これが毛細血管に詰まって、肺の機能を大きく低下させることも指摘されています。新型コロナウイルスは肺の機能を低下させるものだけに、血栓ができないようにしながら歩くことは重要なことです。