ウォーキングをすると適度に疲労感があり、これが睡眠を促してくれることになります。ウォーキングといっても、ダラダラと歩くのではなく、少なくとも時速5km以上の元気のよい歩行スピードで歩くことを指していますが、ウォーキングと睡眠との関係について示したのはアメリカ睡眠財団です。
調査対象は23〜60歳の成人1000人で、まず発表されたのは運動習慣のある人とない人では睡眠時間については平均7時間程度で差はなかったのですが、運動習慣がない人では睡眠の質が低い傾向がみられました。運動によって促される睡眠というのは時間のことではなく、熟睡できるかどうかの質の問題だったわけです。
平日の夜に「よく眠れている」と答えた人の割合を見ると、運動習慣のある人では運動の内容に関わらず56〜67%に上がっていたのに対して、運動習慣のない人では39%となっていました。運動の内容に関わらず、というのが大切なところで、アメリカではウォーキングは立派な運動と分類されています。
実際に調査対象の人たちの50%は、負荷の少ない運動としてウォーキング、軽いウエイトトレーニング、ヨガなどを習慣的に行っていました。積極的な運動であるランニング、水泳、サイクリングなどの強い負荷がかかる運動を行っていたのは18%という結果でした。
歩くことによって熟睡ができるということですが、成長ホルモンは深夜の0〜2時に多く分泌され、運動をした日には分泌量が多くなります。0〜2時に熟睡していることが成長ホルモンの分泌量を増やす条件となります。成長ホルモンというと子どもの成長のためという印象がありますが、大人の場合には身長は伸びなくても筋肉を増やす作用があります。また、大人の場合には疲労回復ホルモンという側面もあるので、しっかりと歩いて、しっかりと眠ることは疲労を回復させ、内臓などの再生にも役立つものとなります。
有酸素運動によって全身の細胞で作り出されるエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)を増やして、活動のためのエネルギーが増えるので、息を止めてもできる運動よりも息を吸いながら実施する運動のほうが健康効果は高いことになります。