ウォーキングの効果として何を求めるかによって、その効果には違いがあるわけですが、生活習慣病の発症を抑えるために血圧、血糖値、中性脂肪値などを安定させる(高めの人は降下させる)ということでは、いわゆるダイエット効果、特にメディカルダイエット効果を期待することになります。例えば、血糖値を効果させるということでは、歩いて多くのエネルギーを消費することになると、歩くだけで血糖値は着実に下がっていきます。
運動を始めた段階では、すぐに多くのエネルギー源が必要となるために、ブドウ糖が多く使われます。血糖値を降下させるためには、だらだらと歩くのではなくて、初めから勢いよく歩くことによって、急にエネルギーを作り出すことが必要になることから、エネルギー変換が早いブドウ糖が優先性的に使われます。
ブドウ糖がエネルギーとして使われるのは、運動を始めてから10〜15分なので、それ以降の時間では長く燃焼し続けられる脂肪酸に移っていきます。運動と食事のタイミング,つまり、どちらを先にするかということでは、運動をしてから食事をすることによって、血糖値を降下させることができます。食事前の空腹時に運動をすると、血液中のブドウ糖が不足しているために、筋肉細胞に蓄積されているグリコーゲンが分解されて、ブドウ糖になって血液中に放出されます。このブドウ糖が運動によって使われたあとに食事をすると、グリコーゲンを補うために肝臓でブドウ糖から合成されるグリコーゲンの量が増えていきます。このグリコーゲンは筋肉の中に蓄積されます。
そのために、ブドウ糖が不足して血糖値が低下します。運動によってブドウ糖が肝臓でグリコーゲンに合成されるほど血糖値が下がることになるので、糖尿病の人にとっては好結果が得られることになります。血糖値を低めに抑えたいという人にとっては、空腹時に運動をして、グリコーゲンの合成量を増やして、それから食事をするという方法がよいことになるわけです。