精神的ストレスは免疫を低下させるのか

「情けは人のためならず」という言葉があります。その正しい意味は「他人への情けは回り回って自分のためになる」ということですが、「他人への情けは、その人のためにならない」という意味だと勘違いしている人もいます。これが少数派ならよいものの、文化庁の「国語に関する世論調査」によると前者が若干多いだけで、ほぼ拮抗しています。「情けをかけるのは、よくない結果を招くので、情けなんかかけないほうがよい」と考えている人が案外と多いということです。
情けをかけてもらって頑張りたいと思い、情けをかけた人に恩返しをしたいと考えている人にとっては、この勘違いはつらいものがあります。情けをかけたら、その人のためにならないという考えをされたら、厳しすぎて、それこそ免疫も低下して、病原菌などと戦う気力も失せてしまうかもしれません。精神的なストレスは免疫にとってはマイナスにしかなりません。ストレスがない生活は刺激がなくて、かえって健康のためにはよくないという考え方をする人がいます。
「する人がいます」どころではなくて、その考え方を患者に押しつけているドクターもいて、精神的なストレスから離れようと考えているときに、「逃げてばかりではいけない」「正面からストレスに立ち向かわないといけない」と言われてしまうと、自分の力では逃れることができないところまで追い込まれてしまった人にとっては、もっと追い込まれるべき、精神的なダメージを受け続けていると強くなると言われているようなものです。
肉体的なストレスの場合には、それを受け続けることで強くなっていくこともあります。肉体的なストレスは、限界を越した瞬間に立ち向かう力が強くなるということがあり、そのストレスがなくなった瞬間に解放されることもあります。しかし、精神的なストレスが限界に達したときには完全に切れてしまい、立ち直る力もなくなり、免疫を調整する中枢神経もダメージを受けて正常には働かなくなってしまうことにもなるので、免疫が低下する一方になってしまうということです。