発達障害と関連があるいじめ・からかい

発達障害の特徴について、「発達障害者支援ハンドブック2020」で解説とともに問題点が指摘されています。発達障害と関連性がある社会現象の中から、前回の虐待に続いて、いじめとからかいについて紹介します。
不適切な関わりや暴力が特定の子どもに繰り返される点では、いじめやからかいは虐待と似た側面があります。発達障害児の目立ちがちな行動特徴は、いじめの絶好の対象となります。からかい(いじり)は、この特徴を集団で揶揄するものです。
いじめられても、これに対抗する術を持たない子どもたちは、不本意ながらいわゆる「いじられキャラ」を演じることで集団から揶揄されないことを選ぼうとするなど、さらに周囲との差が際立つような行動を増幅させていきます。いずれにしても発達障害児の心は傷つき、周囲に対する不信感と自分に対する失望感を強めていくことになります。このことが子どもの将来に及ぼす悪影響は深刻なものがあり、発達障害児の半数以上が、いじめられたことがあるという記憶を持って大人になっていきます。
暴力に対する衝動を社会的に抑制しにくい特徴を持つ発達障害児は、いじめの加害者になるリスクもあります。被害にある不安の強さから、いじめやからかいの加害の立場に身を置こうとする子どももいます。加害と被害の関係は瞬時に入れ替わる可能性があることを、子どもたちはよく知っています。
いじめには別の側面があり、いじめには直接加わらない子どもたちの存在があります。子どもの集団が特定の弱者に対する攻撃に対して否定的な雰囲気を持っていれば、いじめやからかいの重要な抑止要因となります。逆に、いじめられても仕方がないという雰囲気が共有されていると、いじめやからかいの重要な増長要因となります。