発達障害の早期診断に1歳半健診が有効

発達障害は早期発見、早期支援が重要と言われます。どのタイミングで早期診断するのが効果的かということについて多くの研究機関で検討がされていますが、信州大学の研究グループから1歳半健診が有効だと発表されました。長野県岡谷市と信濃医療福祉センターの協力を得て、2009年4月2日から2012年4月1日までの3年間に出生して、岡谷市で1歳半健診を受けた全幼児1067名を対象に、発達障害の自閉症スペクトラム障害の発生率とリスクファクターを調査しました。
その結果、対象者の1067名のうち33名(男児22名、女児11名)が小学校入学までに自閉症スペクトラム障害と診断されました。その発生率は3.1%で、その多くが1歳半健診で運動能力と社会的コミュニケーション能力の障害が指摘されていました。この結果は、日本のほぼすべての子どもが受ける1歳半健診によって自閉症スペクトラム障害が予測できることを示唆しているとされています。
ここ20年間で自閉症スペクトラム障害と診断される人の割合が世界的に増加していて、2014年のアメリカでの調査では8歳児での発生率は1.68%であると報告されています。発生率が増加しているのはスクリーニングの精度の向上があげられています。自閉症スペクトラム障害の早期発見と早期支援は改善のために重要となっているものの、一般的なスクリーニングツールを利用しても2歳未満で早期発見を行うのは困難と考えられています。
この研究で報告された発生率は、一般人口における医療的診断に基づく自閉症スペクトラム障害の発生率としては、今までの研究で報告された中で最も高い値となっていました。この結果から、1歳半健診で丁寧なスクリーニング体制を整えることによって、高い感度での診断が可能であると考えられています。自閉症スペクトラム障害では1歳半の時点で、微細・粗大運動能力、社会的コミュニケーション能力の発達が遅れていることが指摘されていて、これらは自閉症スペクトラム障害を早期に予測する因子であることが考えられていました。