入浴剤で免疫が向上するメカニズム

新型コロナウイルス対策の入浴について紹介します。
入浴剤を使うと身体が温まり、汗も多く出るので、血流がよくなっていることが体感できます。入浴剤には炭酸ガス系と温泉成分系、その両方が使われたものがあります。炭酸ガスが含まれた入浴剤のほうが身体が温まってくれますが、これは炭酸ガスが皮膚から浸透して、血液中に入ることで起こる反応です。
炭酸ガスの成分は二酸化炭素と同じです。二酸化炭素といえば、体内では発生して、血液中を流れています。全身の細胞は酸素を取り込んで、ブドウ糖や脂肪酸を材料にして代謝を起こして、二酸化炭素を発生させています。二酸化炭素は赤血球に吸着されて、血液中を運ばれていきますが、二酸化炭素が多くなると早く排出するために血管が収縮して血流がよくなります。
血液の温度はほとんどの人は同じですが、それなのに身体が温まる人と冷える人がいるのは血流の違いによるものです。血流がよければ、温かい血液が早く送られるようになり、放熱で失われる熱を補っていくので、身体が温まるというわけです。血流がよければ、老廃物や疲労物質の乳酸も早く送られるようになって、疲労回復にもつながります。
免疫細胞の白血球もリンパ球も血液中を流れています。血液中に病原体などを入り込んだ場合には、できるだけ早く駆けつけて対処することで免疫が高まります。血流がよければ、それだけ早く駆けつけられるわけです。血流がよいということは、赤血球によって全身に運ばれる酸素の量も増えます。免疫細胞はエネルギー源のブドウ糖や脂肪酸を取り込み、内部で酸素を使ってエネルギー化しています。その点でも免疫が高まります。
体温が上昇すると免疫が高まります。身体が冷えている人の体温が1℃上昇すると5〜6倍にも上昇することが報告されていますが、血流がよいと温かな血液が次々と送られてくることになるので、体温は上昇していきます。ずっと入浴をしているわけにはいかないものの、身体を温める時間を増やすことは、着実に免疫を高めることにつながります。