発達障害は曖昧感覚が通じにくい

発達障害の人は、的確に指示を与えないと上手にこなすことができないという特性があります。感覚的な表現が苦手で、料理番組の調理に関わる表現には混乱をすることがあります。
例えば調味料の量を示すときに「適量」という表現が使われますが、どれだけの量かということをわかるように教えてあげないと、適当な量の塩や砂糖を加えてしまうことにもなります。そもそも適当という言葉は、適して当然という意味と、いい加減という意味があります。料理で求められているのは適して当然の量ですが、これが理解できないと何をやってもよくない意味の“いい加減”になってしまいます。
いい加減という言葉も、よい状態を指す場合と、よくない状態を指す場合があります。日本語そのものの意味が“いい加減”であるのに、的確に理解して、自分の判断で行うように言われたら、混乱をきたすのは仕方がないことです。
調味料の分量を示す言葉に「ひとつまみ」があります。どんなつまみ方をしてもよいということではなくて、料理の世界では親指、人差し指、中指の指先でつまむくらいの量とされていて、塩だったら1g適度です。小さじは1杯が5gなので、その5分の1の量ということになります。ところが、料理の教則本の中には、小さじの4分の1の量としているものもあります。指の大きさは人によって違うので、何が正解と言うのは難しいかもしれませんが、この量だと見本を見せて教えることが発達障害がある人の料理には必要です。
ひとつまみと同じようによく使われる言葉に「少々」があります。親指と人差し指でつまんだ量のことで、小さじ8分の1とされているので、だいたい0.5gの量となります。
ひとつまみと勘違いされやすい言葉に「ひとつかみ」があります。何も説明せずに「ひとつかみ」と言ったら親指から小指までの5本で握ってしまうかもしれませんが、この場合に使われるのは人差し指、中指、薬指、小指の4本で、大さじ2杯分の30gの量になります。