潰瘍性大腸炎は、新型コロナウイルス対策の陣頭指揮を取っていた日本のトップは、任期途中で辞任をしなければならないほど体調不良を起こしました。潰瘍性大腸炎は大腸粘膜の腫瘍やびらんができる原因不明の炎症性疾患で、血便を伴う下痢や激しい腹痛が起こります。自己免疫疾患とされていて、免疫細胞が外敵だけでなく、自分の細胞を攻撃してしまう免疫異常が原因とされています。
潰瘍性大腸炎となったら、脂肪が多く含まれる食品を極力減らし、不溶性食物繊維、香辛料、アルコール類、コーヒー、炭酸飲料を控えることが指導されます。中でも注意が必要なのはアルコール飲料で、アルコールは腸の粘膜に悪影響を及ぼします。状態がよい寛解期には適度の飲酒は許されるのですが、できれば飲酒しないことがすすめられます。状態がよくないときには絶対に禁酒です。
しかし、ストレスがかかる仕事をしていると、飲酒をしてしまうのは人の常で、元気が出る食事には脂肪が多く含まれるのは仕方がありません。そのため、潰瘍性大腸炎では外食、特に家族以外との会食は避けるべきです。日本のトップの場合は食事指導に従っていたとは思われない状況だったとの声もありますが、免疫異常を起こしているときには、肉もアルコールも避けて、魚も脂肪が多いものは避け、全体的に摂取エネルギー量を抑えることが求められるので、バリバリと仕事ができるような状態ではなくなります。
免疫異常によって重症化するのが新型コロナウイルスの特徴で、免疫細胞がウイルスと戦うために作り出すサイトカインが制御できなくなって放出され続け、その作用が全身に及んで、ショック症状、血管内凝固症候群、多臓器不全まで進行してしまうのがサイトカインストーム(cytokine storm)です。
アルコールや脂肪の摂りすぎは潰瘍性大腸炎に限らず、免疫系に影響を与えることになるので、新型コロナウイルスの次の段階のためにも、さらなる注意を進めるべきタイミングです。