果糖による精神安定に関する情報を理解するための関連用語を解説します。
「インスリン」は膵臓のランゲルハンス島のβ細胞から分泌されるペプチドホルモンの一つで、血糖値を下げる唯一のホルモンとなっています。血糖値が上がると分泌され、インスリンによって細胞にブドウ糖が取り込まれます。インスリンは血糖値の上昇に合わせて多くの量が分泌されますが、肝臓で脂肪酸を合成する作用があるため、多く分泌されると脂肪酸が増え、中性脂肪が多く作られるために、太る原因にもなります。以前はインシュリンの表記も使われていましたが、2006年に専門分野ではインスリンの表記が用いられることとなっています。
「脳のエネルギー源」はブドウ糖を指しています。脳と血管の間には不必要なものを脳に送らないようにするための血管脳関門があり、ここを通過できるエネルギー源はブドウ糖に限られています。そのためにブドウ糖以外の糖質も、脂肪酸、アミノ酸も脳のエネルギーとはなりません。ただし、ブドウ糖が不足した状態で脂肪酸が燃焼したときに肝臓で作られるケトン体は血管脳関門を通過して、ブドウ糖不足でも脳の機能が大きく低下しない仕組みとなっています。
「セロトニン」は生体リズム、睡眠、体温調整などに必要な生理活性物質で、脳内で生成されます。腸の蠕動運動にも関わり、過剰に分泌されると下痢を、分泌が少ないと便秘を引き起こします。セロトニンは腸内細菌の善玉菌が多い状態では腸内で生成されますが、セロトニンは血管脳関門を通過できないため、脳内のセロトニンを増やすためにはトリプトファンの摂取が必要になります。
「アミノ酸」はアミノ基とカルボキシル基を持つ化合物で、たんぱく質の構成成分となっています。たんぱく質は消化されてアミノ酸になって吸収され、肝臓の中で体内に必要なタンパク質に合成されます。身体の約60%は水分が占めていますが、その他はタンパク質が約20%、脂肪が約15%、残りの約5%は糖や他の成分となっています。タンパク質は20種類のアミノ酸の組み合わせによって作られています。また、血球(赤血球、白血球、血小板)やホルモン、免疫物質、神経伝達物質などもアミノ酸から作られています。
「トリプトファン」は必須アミノ酸の一つで、タンパク質の合成のほか、生体リズムを整えるセロトニンや睡眠を調整するメラトニンといったホルモンの生成、ナイアシンの合成による中性脂肪の低下、アルコールから発生する有害物質のアセトアルデヒドの分解などの働きがあります。たんぱく質が多い食品に含まれていますが、多く含まれるものとしては肉、魚、豆、種子、乳製品、フルーツ(バナナ、マンゴー、ドリアン)などがあげられます。