発達栄養学34 味覚は3歳までに発達する

子どもの味覚は3歳までに形成されて、そのピークは3〜4歳だとされています。3歳までに食べた味が、その子どもの一生涯の味覚を作り上げると言われることがありますが、実際には10歳までの味覚の記憶が味覚の特徴を決定すると考えられています。
味覚は舌にある味蕾によってキャッチされています。味蕾の数は生まれたばかりの乳児には1万個以上ありますが、3〜4歳から減り始め、成人では75%ほどになり、高齢者では30%にも減ってしまいます。高齢者は味覚が鈍感になると言われている原因の多くが味蕾の数だと指摘されています。
味覚形成が始まるのは離乳食が始まる生後5〜6か月からで、離乳食を食べ始めることによって食感、舌触り、温度、匂い、色彩などの五感を刺激していくことができて、食べ物のおいしさを知り、食べることの感覚を身につけていくようになります。
味蕾の数からいうと乳児の味覚は非常に敏感で、母乳の味の変化にも敏感に反応しています。母乳は血液が変化したもので、母親が食べたものの栄養成分が血液中に入り、その血液中の成分が母乳の成分に反映しています。血液には赤血球が多く含まれていて、赤血球のヘモグロビンが赤い色素なので、血液は赤くなっています。それに対して母乳にはヘモグロビンが含まれず、光が拡散するので白い色となっています。
甘いものを多く食べると血液中のブドウ糖が増えて血糖値が上昇します。脂肪が多く含まれるものを食べると脂肪酸や中性脂肪が増えます。この血液からできた母乳にもブドウ糖や脂肪酸が含まれて、これが味覚に影響を与えることになります。母親のバランスのとれた食生活をしていれば、それが母乳を通じて、子どもの敏感な味覚にも影響を与えることになるということです。