女性の手づくり料理は、おいしさもさることながら、健康効果が高いことは以前から言われてきました。食べる人の健康を考えての食材選びをしている、余計な調味料を使わない分だけ手間をかけて調理しているということもあるのですが、それ以上に注目されてきたのが手づくりによって健康維持の基本となる免疫を強化することができることです。
免疫の第一防御ラインは免疫細胞でもなく、口や胃の中の分泌液でもなくて、その役割は皮膚が担っています。皮膚に付着した病原体は皮膚の常在菌と戦い、退治できなかったとしても勢力が弱められて胃から傷口や粘膜などから体内に侵入することになります。ここで外敵の勢いを抑え込めていれば、その次の第二防御ラインで対抗できやすくなります。
男女ともに常在菌の種類や数は大きくは違わないのですが、唯一違っているのは乳酸菌の量です。乳酸菌によって皮膚が保護されていることによって、母胎内の胎児を守っています。そのために妊娠可能な年齢の女性の皮膚には乳酸菌が多く存在しています。この乳酸菌は胎児と女性を守っているだけでなく、接触などを通じて家族にも伝わっていきます。料理を手づくりすることで、料理に乳酸菌が入り、これが食事をすることによって家族の体内にも入っていきます。乳酸菌は腸内細菌の善玉菌でもあるので、腸内環境を整える役割もあるのです。
そんなにも重要な皮膚の乳酸菌なのに、手袋をして調理をしたり、手を洗いすぎることによって、せっかくの家族への“おすそ分け”のチャンスが失われてしまうことになります。コロナ禍の今は外出先でも手指の消毒をしないと中にも入れてもらえないという状況です。有害な菌とウイルスを除去するためではあっても、有益な常在菌も乳酸菌も除去されてしまっています。
こうなると自分と家族の健康を守るために、乳酸菌などの善玉菌を取り入れる“菌活”に取り組まないと、健康維持ができない時代になってしまったということです。