ファスティングによる健康効果で顕著な結果が得られるのは腸内環境の改善です。腸は小腸と大腸に大きく分けられていますが、食事内容によって大きく変化するのは大腸の環境です。その環境を左右する役割を担っているのは腸内細菌です。腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌に分類され、健康的な腸内環境では善玉菌20%、悪玉菌10%、日和見菌70%の割合になっています。
善玉菌は栄養源(エサ)を取り込んで、代謝によって発生した酸性成分を排出しています。そのため善玉菌が多い状態では腸内は酸性傾向が強まります。悪玉菌は栄養源を取り込んでアルカリ性成分を排出して、腸内をアルカリ性傾向にしています。腸内は弱酸性の環境ですが、善玉菌は酸性の環境で増殖しやすく、悪玉菌は酸性度が低い環境で増殖しやすくなっています。善玉菌が多ければ善玉菌は増えやすく、悪玉菌が多くなるほど悪玉菌が増えやすくなります。腸内細菌の総数はほぼ決まっているので、善玉菌が増えれば悪玉菌が減り、悪玉菌が増えれば善玉菌が減るという関係になっています。
日和見菌は通常は多く存在していても腸の状態に影響は与えませんが、腸内環境が酸性傾向では善玉菌と同じような働きをして、アルカリ性傾向では悪玉菌と同じような働きをするようになります。善玉菌が多いと日和見菌が味方をするので腸内環境はますますよくなり、逆に悪玉菌が多いと日和見菌が悪玉菌を応援して腸内環境が悪化していくことになるというわけです。
腸内環境は、自分の排泄物によって確認することができます。善玉菌は腸内での発酵を進めることによって便を軟らかくして量を増やし、色は黄色に近くなり、臭いも弱くなります。悪玉菌は腸内での腐敗を進めることによって便を硬くして量を減らし、色は黒傾向になり、臭いも強くなります。悪玉菌が多い環境では大腸を通過しにくくなり、便通の回数が減る傾向になります。大腸では水分が吸収されるために、滞留時間が長くなるほど水分量が減って便秘傾向になります。また、悪玉菌は毒素(有害物質)を作り出すために、滞留時間が長くなるほど臭いが強くなるだけでなく、毒素によって大腸壁が刺激を受け続け、また毒素が大腸壁から吸収されて血液中に入ることになります。