発達栄養学63 コンニャクは水溶性食物繊維の働きが期待できない

水溶性食物繊維といえば、以前は「コンニャク、きのこ、海藻」という順番で紹介されるほど、コンニャクは胃の中で水分を吸って膨らみ、余分なもの(脂肪や有害物質など)を吸着して、小腸から吸収されずに排泄してくれるものとして有名でした。“有名です”ではなくて“有名でした”と書いたのは、今では有名ではないということで、それ以上に水溶性食物繊維扱いされなくなっています。そのために、かつては水溶性食物繊維の代表として使われていたのに、今では教科書の中からも徐々に消えていっています。
なぜかというと、コンニャクは原材料のコンニャク芋では水溶性食物繊維だったのが、凝固剤を使って固めたコンニャクになると、水溶性食物繊維の性質が失われて、不溶性食物繊維と同じ状態になってしまうからです。
コンニャクはコンニャク芋を乾燥させて粉状にしたものが材料で、これを水に溶かしてから凝固剤を加えて固まらせます。コンニャクというと板コンニャクの他に糸コンニャクやしらたきがあります。糸コンニャクは固めたコンニャクをトコロテン方式に押し出すか細かく切ったもので、しらたきは充分に固まっていない状態で穴から押し出して固めるものです。製法は違っても、中身に変わりはありません。
コンニャクを食べて、口から入った後に、どのように変化するかは胃カメラで見ることもできますが、今ではカプセル内視鏡が使われます。これはカプセルに入った小型カメラのことで、口から食道、胃、十二指腸、小腸、大腸を通過して、最後は便と一緒に出てきます。撮影されたデータは電波で飛ばして、外部の装置に記録されるので、そのままトイレで流しても大丈夫です。洗って持っていく必要はありません。
このカプセル内視鏡を使って、コンニャクがどのようになるのかを観察したところ、何も変化しないで胃から小腸を通過していくのが確認されました。まさに不溶性食物繊維と同じ結果です。
水溶性食物繊維の性質を残しているのは粉のコンニャクで、コンニャクの水溶性食物繊維としての性質を活かすためには粉のコンニャクを水とともに飲むことで、胃の中で水を吸って膨らんで満腹感が得やすくなり、糖と脂肪の吸収が抑制され、糖質がゆっくりと胃から小腸に運ばれるために血糖値の急上昇を抑える効果が得られるようになります。