発達栄養学70 就寝の1時間前のお菓子のリスク

糖質は胃の中で消化されるまでに2時間ほどかかります。お菓子に使われている砂糖はブドウ糖と果糖が1分子ずつ結びついているために消化されやすく、消化・吸収に15分ほどしかかかりません。就寝の1時間前にお菓子を食べると、血糖値が上昇したまま眠ることになります。3時のおやつの場合には、夕食の6時ころまでにはブドウ糖はエネルギー源として使われて、血糖値は安定した状態になっています。これと比べると寝る少し前のお菓子は血糖値が上がることに加えて、身体を動かしていないので、さらに血糖値が高い状態が続くことになります。
そのままだと寝ている間に脂肪の代謝が低下してしまうので、上昇した血糖値を下げる工夫を就寝までの1時間のうちにするしかありません。その方法ですが、ブドウ糖は軽い筋肉運動でも、すぐに代謝される性質があるので、腕立て伏せや腹筋運動などの筋肉が刺激される運動がすすめられます。
ブドウ糖は筋肉が刺激される無酸素運動で多く使われます。また、10分ほど運動を続けるとエネルギー消費はブドウ糖中心から脂肪酸中心に切り替わるので、10分ほどで運動はやめるようにします。食べた量にもよりますが、10分間の運動で足りないようなら、少し休んで筋肉が落ち着いてから、また10分間の運動をするとよいということです。
ちなみに脂肪酸についてですが、一般に脂肪と呼ばれているのは中性脂肪でエネルギー源として使われる脂肪酸3個とグリセロール1個が結合しています。脂肪酸の代謝は筋肉が温まることで進むので、長めの時間の有酸素運動で効果的に使うことができます。ただし、無酸素運動でも脂肪酸の一部が代謝されるので、無酸素運動の効果がないわけではありません。
就寝前は空腹にしておくことが大切ですが、どうしても我慢ができずに食べてしまったときには、それなりの対策をしておくことが必要になります。