新型コロナ対策として緊急事態宣言が発令されて、徐々に解除されてきた中で、首都圏(一都三県)の緊急事態宣言が解除とは逆に延長となり、その影響として飲食店の窮状を伝える報道がされました。その報道が広まる中で、真実が伝えられていないとの声が医療の専門家から相次いであげられています。
真実というのは、緊急事態宣言による外出自粛が国民的に生活習慣病を悪化させ、健康寿命を短くさせることを指しています。新型コロナウイルス感染を防ぐための外出自粛と三密回避が重要であることが盛んに訴えられ、各自治体の公共機関への出入りの制限、イベントの中止などが相次ぎました。このことによって感染拡大を抑える効果が認められた反面、自宅で長く過ごすことによる運動不足、過食、特定健診の受診率の低下、医療機関の利用減少などから、住民の生活習慣病や認知症の増加、健康寿命が短くなることが強く懸念されているのです。
糖尿病、高血圧、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症)は日本人の死因の上位を占める心疾患、脳血管疾患の要因であることから、特定健診の重要性が訴えられています。特定健診は2008年から実施されていて、厚生労働省による2023年の目標実施率は70%とされていますが、2018年の全体の実施率は54.7%と大きく乖離しています。また、地域住民に対して実施されている市町村国保を対象とした実施率は37.9%と、さらに低い結果となっています。
基礎疾患がある人は重症化リスクが高いことから、特定健診の実施率の向上は生活習慣病の高リスク者を早期に発見するためにも重要なことです。病気と感染の最大のリスクは加齢だと考えられています。加齢によって免疫力が低下して、これが生活習慣病の発症につながることから、高齢化率が高い地方自治体ほど住民の免疫強化が重要課題となっています。
健康寿命は行動を制限されずに自由に活動できる期間を指していますが、平均寿命に比べて男性では9年、女性では12年ほども短くなっています。これ以上短くさせない活動、むしろ長くさせる活動は、感染したときの重症化を防止するためにも必要なことなのです。