健康寿命延伸のための提言4 提言の内容(後半)

国立高度専門医療研究センター6機関(国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿医療研究センター)が連携して、研究成果として「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」を公開しています。その内容の後半を、以下に紹介します。
5.身体活動:◎日頃から活発な身体活動を心がける。〔国民一人一人の目標〕日頃から活発な身体活動を心がけ、現状より1日10分でも多く体を動かすことから始める。義体的な身体活動の目安は、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分行い、その中に、息がはずみ汗をかく程度の運動が1週間に60分程度含まれるとなおよい。また、高齢者では、強度を問わず、身体活動を毎日40分行う。
6.心理社会的要因:◎心理社会的ストレスを回避する。◎社会関係を保つ。◎睡眠時間を確保し睡眠の質を向上する。〔国民一人一人の目標〕心理社会的ストレスをできるかぎり回避する。孤独を避け、社会関係を保つ。質の良い睡眠をしっかりとる。
7.感染症:◎肝炎ウイルスやピロリ菌の感染検査を受ける。◎インフルエンザ、肺炎球菌を予防する。〔国民一人一人の目標〕肝炎ウイルスやピロリ菌の感染検査を受け、感染している場合には適切な医療を受ける。高齢者では、インフルエンザ、肺炎球菌のワクチン接種を受ける。
8.健診・検診の受診と口腔ケア:◎定期的に健診を、適切に検診を受診する。◎口腔内を健康に保つ。〔国民一人一人の目標〕定期的に健診を受ける。科学的根拠に基づいたがん検診を、厚生労働省の指針(がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針)で示された方法で受ける。口腔内を健康に保つ。
9.成育歴・育児歴:◎出産後初期はなるべく母乳を与える。◎妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、巨大児出産の経験のある人は将来の疾病に注意する。◎早産や低出生体重で生まれた人は障害の疾病に注意する。〔国民一人一人の目標〕出産後初期はなるべく母乳を与える。妊娠中に妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群にかかった人や巨大児出産の経験のある人、早産や低出生体重で生まれた人は将来の疾病に注意する。
10.◎社会経済的状況、地域の社会的・物理的環境、幼少期の成育環境に目を向ける。〔公衆衛生目標〕個人の不健康な根本原因となっている社会的決定要因にも目を向け、社会として解決に取り組む。