新型コロナウイルス感染症と糖尿病の深い関係

新型コロナウイルスは高齢者、基礎疾患のある人は感染しやすく、また重症化しやすいことが確認されています。基礎疾患は糖尿病、高血圧、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症)、心疾患、脳血管疾患、肥満のほか肺疾患、腎臓疾患なども含められています。
その中でも大きな問題とされているのが糖尿病です。日本人の糖尿病患者(糖尿病が強く疑われる人)は約1000万人、糖尿病予備群(糖尿病の可能性を否定できない人)も約1000万人もいると推定されています。これは国民健康・栄養調査の結果で、調査対象は国民の成人で約1億人です。ということは、国民の20%が糖尿病か、その予備群という恐ろしく多い状態になっています。
糖尿病は感染リスクが高いとされているものの、アメリカの調査結果では糖尿病の割合は10.5%であるのに対して、新型コロナウイルス感染者の糖尿病の割合は10.9%と、ほとんど差は認められていません。ところが、新型コロナウイルス感染者のうち入院しないで済んだのは糖尿病では6%であったのに、一般病棟に入院したのは24%、ICUでは32%と、糖尿病の人は重症化リスクが高いことがわかります。この傾向はアメリカだけではなくて、他の国の報告でも同じ状態になっています。
中国のデータですが、新型コロナウイルス感染者の死亡率は糖尿病の人が7.8%であったのに対して、糖尿病でなかった人は2.7%と糖尿病では3倍近い死亡率となっています。また、同じ糖尿病であっても血糖値のコントロールができている人の死亡率が1.1%であったのに対して、血糖値のコントロールができていなかった人は11.1%と10倍もの差となっているのです。
これに、もう一つのリスクが加わると、もっと影響が出てきます。そのリスクは喫煙です。喫煙と糖尿病の関連性をみると、喫煙者は非喫煙者(喫煙しない人)に比べて糖尿病になる確率が1.44倍となり、1日に20本以上の喫煙がある人は1.61倍にもなるという厚生労働省による調査結果があります。
これまで新型コロナウイルス感染のリスクというと、タバコが取り上げられることはなかったのですが、感染リスクが高く、重症化リスクも高くなるのは糖尿病、高血圧、脂質異常症などの血栓ができやすい人であることを考えると、喫煙によって血管が老化することは重症化、死亡の危険性が大きく高まるということです。