発達栄養学88 肉と魚のバランスのよい食べ方

栄養バランスが取れている食品としては、肉、魚、卵、大豆・大豆製品があげられます。これだけ食べていればよいという意味でのバランスが取れている食品ではなくて、アミノ酸のバランスのことを指しています。肉、魚、卵、大豆・大豆製品などはたんぱく質が豊富に含まれている、いわゆるたんぱく源ですが、たんぱく質は20種類のアミノ酸によって構成されています。その20種類のアミノ酸がすべて含まれていて、しかも充分な量が含まれているものは良質なたんぱく質と呼ばれています。
その良質なたんぱく質の例が肉、魚、卵、大豆・大豆製品ということですが、では、どれくらの量を食べればバランスが取れるのかというと、一般に1日に食べるべき量として示されているのは肉が40〜60g、魚が40〜100gです。これは肉か魚かということではなくて、1日に両方とも食べる場合の分量のバランスです。たんぱく源はこれだけではなくて、さらに卵が50g、豆腐が100gもしくは納豆が40gと、肉も魚も卵も大豆・大豆製品も食べなければならないということです。
実際の摂取量を見ると、2006年に肉の摂取量が魚の摂取量を上回り、それ以降は肉類の摂取量が上回ったままです。2006年の逆転は魚の摂取量が減って、その分だけ肉の摂取量が増えたというのではなくて、魚の摂取量はほぼ平行線で、肉の摂取量が増えた結果です。しかし、2008年からは魚の摂取量が減る一方になり、肉の摂取量が増え続けています。
この変化を受けて、厚生労働省は「日本人の食事摂取基準」の脂肪の摂取割合を変更しています。以前は全エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)のうち脂質(脂肪)は20〜25%でしたが、これを20〜30%にしました。これは単純に脂肪を多く摂ってもよくなったということではなくて、飽和脂肪酸の割合を7%以下にすることを示しています。飽和脂肪酸は肉に多く含まれる脂肪酸なので、要は肉を減らして、魚を多く食べることを推奨しているということです。