発達栄養学89 肉と野菜のバランス

肉の付け合わせといえば野菜が一般的です。肉好きの中には、牛肉の付け合わせに豚肉、さらに鶏肉というような肉三昧の人や、同じ種類の肉を焼く、揚げるといった異なった調理法で肉を食べよう、食べさせようという人も少なくありません。
付け合わせというと、メインの肉に比べたら、それほど多くの量を食べることは想像されていません。肉と魚を半々で食べたとすると、1日に摂るべき量は男性で140g、女性で100gとされています。これを肉だけで食べたら、血液をドロドロにして動脈硬化のリスクを高める飽和脂肪酸の摂りすぎになることが懸念されますが、肉のマイナスは野菜を食べることで埋められるという考えをしている人は少なくありません。
1日に摂るべき野菜は350gとされているので、野菜は肉の3倍ほどの量を摂らなければならないことになります。そんなにも食べるとなると、これは付け合わせというレベルではなく、大量のサラダの上に肉が乗っている欧米のサラダランチの勢いです。野菜は緑黄色野菜と淡色野菜に分けられていて、350gのうち緑黄色野菜は120g、淡色野菜は230gのバランスとされているので、野菜の半分は緑黄色野菜ということになります。
肉の量に合わせて、野菜を大量に食べればよいというわけではなくて、同じ肉であっても種類によって飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の量が違っています。不飽和脂肪酸は植物油や魚油に多く含まれていますが、牛肉と豚肉を比べると飽和脂肪酸は牛肉のほうが豚肉よりも多く、不飽和脂肪酸は豚肉のほうが牛肉よりも多くなっています。豚肉のほうが軟らかい食感で、牛肉よりも胃もたれしにくいのは脂肪酸のバランスの違いがあるからです。
牛肉を食べるときには、もっと野菜の量を増やすべきだということですが、毎日の食生活で、それは難しいことなので、肉を減らすことを心がけると同時に、野菜不足を感じる場合には果物や、場合によってはサプリメントの使用も考える必要があるということです。