糖尿病は新型コロナウイルスの大きなリスクとされています。糖尿病の患者が、どれくらい地域にいるのかを把握することは新型コロナウイルスの対策のためにも必要なことで、そのために実施されているのが特定健診です。特定健診は2008年から実施されていて、厚生労働省による2023年の目標実施率は70%とされていますが、2018年の全体の実施率は54.7%と大きく乖離しています。また、地域住民に対して実施されている市町村国保を対象とした実施率は37.9%と、さらに低い結果となっています。新型コロナウイルスの感染拡大によって、各地域で実施される特定健診の受診者数は減少していて、受診率の向上に向けての取り組みが行われているところです。
日本糖尿病学会は、糖尿病患者の新型コロナウイルスの感染リスクについて発表しています。アメリカの調査結果では糖尿病の割合が10.5%であるのに対して、新型コロナウイルス感染者の糖尿病の割合は10.9%と、ほとんど差は認められませんでした。ところが、新型コロナウイルス感染者のうち入院せずに済んだのは糖尿病では6%であったのに対して、一般病棟に入院したのは24%、ICU(集中治療室)では32%と、糖尿病患者は重症化リスクが高いことがわかります。これはアメリカだけでなく、他の国の報告でも同様の傾向となっています。
中国のデータでは、新型コロナウイルス感染者の死亡率は糖尿病患者で7.8%であったのに対して、糖尿病でなかった人は2.7%と、糖尿病では3倍近い死亡率となっています。また、同じ糖尿病であっても血糖値のコントロールができている人の死亡率が1.1%であったのに対して、血糖値のコントロールができていなかった人は11.1%と10倍もの差となっています。
厚生労働省の調査では、喫煙者は非喫煙者に比べて糖尿病になる確率が1.44倍になり、1日20本以上の喫煙がある人は1.61倍になると報告されています。喫煙は糖尿病のリスクを高めるだけでなく、糖尿病と新型コロナウイルスの重症化リスクを高めるだけに、重症化防止には喫煙対策も実施する必要があるということです。