発達栄養学91 子どもはサプリメントを安心して使えるのか

サプリメント(supplement)は補助、補完、補充を意味していて、一般にイメージされるサプリメントだけを指す言葉ではありません。日本でサプリメントとして認識されているものはアメリカではダイエタリー・サプリメント(dietary supplement)と呼ばれます。これは通常の食品とも医薬品とも異なるジャンルの食品のことで、広く理解されているサプリメントを指しています。ダイエタリーは「食品の〜、食物の〜」を意味していて、日本でいうサプリメントは、ダイエタリーを略したものといえます。
サプリメントは通常の食事では不足するものを補うために摂るもので、発達障害の特性の一つとして知られる感覚過敏による極端な偏食では、どうしても食べられないものがあり、不足する栄養素を補うためには有効なものとされています。
サプリメントは法律では栄養機能食品に分類されていて、医薬品、特定保健用食品、栄養機能食品、食品と並ぶ中に位置づけられていて、ビタミン13種類(ビタミンA、ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)、ミネラル6種類(鉄、カルシウム、マグネシウム、銅、亜鉛、カリウム)、脂肪酸1種類(n-3系脂肪酸)が該当します。
サプリメントは栄養成分が濃縮、凝縮されていることから、過剰摂取の可能性は常につきまとっています。そのために過剰摂取の場合のリスクは検査されますが、通常摂取でのリスク調査は実施されていません。このことは、いわゆる健康食品とは違うところで、栄養機能食品は栄養素であって、特別なリスクは認められていないからです。
健康食品の場合には、危険性もあるということで、子どもと妊娠可能な女性では摂取試験は行われていません。健康食品は子どもが摂ってもよいのかと問われれば大丈夫とは言えません。それに対して栄養機能食品に含まれるビタミン、ミネラル、脂肪酸は、作用メカニズムが明らかで、もともと安全性が確認されているので、過剰に摂取しなければ安心して使えるということです。