マスクを着用することの学習面でのデメリットというと、呼吸が浅くなり、本来なら吐き出されるはずの二酸化炭素が再び口から入ってくることによる酸素不足ということが言われます。これは誰にも少なからず起こっていることですが、発達障害では、通常では気にならない酸素不足を強く感じてしまうこともあります。
発達障害に特徴的にみられる感覚過敏では、触覚過敏による皮膚に触れる不快感、臭いがマスクの中に残ることによる嗅覚過敏、マスクが動くことを過敏に感じる聴覚過敏、そして視野に入ってくるものに過敏に反応する視覚過敏があげられます。五感のうちでは味覚以外の四感が過敏の場合にはマスクが障害になっているということです。感覚過敏までいかないとしても、四感で気になることがあると集中しにくくなり、これが学習に影響を与えることにもなります。
学習障害は文字が読めない識字障害、文字が書けない書字障害、計算ができない算数障害に大きく分けられています。それぞれ別の障害ではなく、文字が読めなければ書くことができないので、書字障害よりも識字障害のほうが影響していることがあります。算数障害といっても計算はできるのに、文章題で出されると質問されている意味が充分に理解できないために計算までたどり着かないために結果として問題が解けないということもあります。
識字障害だと思われていた子どもが視覚過敏のために白い紙を眩しく感じて、その上に書かれている文字がよく読めないということがあります。眼球を的確に動かして目で文字を追うことがうまくできずに、頭を動かして文字を追う子どももいます。この状態では素早く広い範囲を把握することができずに、文字を狭い範囲でしか見ることができないために読めないという場合もあります。
マスクをつけるだけでなく、行動に規制がかけられるコロナ禍では、学習に集中することができなくなり、学ぶための条件を整えるために余計なエネルギーを使ってしまうために、学習に影響が出ているという例も少なくありません。