発達障害児に与えるマスク着用のデメリット

マスクは子どもが着用し続けることが難しいと言われながらも、集団で行動するときにはマスクが義務づけられるシーンが少なくありません。発達障害とコロナ禍におけるマスク着用については、さまざまな機関が調査していますが、国の発達障害情報・支援センターから総合的な調査結果が発表されています。その調査は「新型コロナウイルス感染拡大に伴う発達障害児および家族への影響」で、当事者(352人)と家族(500人)向けにアンケート調査が行われています。発達障害の割合では、単独だけでなく重なっている場合もあり、自閉症スペクトラム障害が74%、注意欠陥・多動性障害が53%、学習障害が7%という割合になっていました。
WHO(世界保健機関)は、発達障害がある子どもは年齢を問わずマスクの着用を強制しないように推奨していますが、厚生労働省は2歳未満には着用を推奨しないとの見解を示しているものの、発達障害に対しては特には触れられてはいません。
発達障害児のマスクの着用については、「抵抗なくマスクをしている」のは44%で、「我慢してマスクをしている」が50%、「マスクをすることが難しい」が6%と、半数以上が着用に困難を感じていました。着用に困難を感じている理由としては、息苦しさと感覚過敏によるものが主になっています。
統計調査よりも、どんな感じ方を実際にしているのかを把握することが重要であり、カテゴリー別に記述内容の一部を紹介します。
〔息苦しさ〕
*とてもじゃないけど息苦しくて倒れそう。
*呼吸が苦しいのが我慢できない。呼吸でマスクが気道(鼻や口)を塞ぐのが苦しい。
*自分の息によってマスク内がもわっとした感じになるのが不快、それが長く続くと息苦しくなり、息苦しさが続くとパニックになる。
*鼻炎もあるので息ができない。耳のゴムが痛いからひっぱったらちぎれてイライラする。マスクの肌触りがいやだから綿100%にしたら息苦しい。
*息苦しいから長時間するとめまいがする。
*マスクをしているとつらい。脳が酸欠になりそう。頭痛もする。
*マスクをしていると呼吸が苦しくなる。息苦しく、気になってしょうがない。