健康寿命延伸のための提言24 提言のエビデンス3食事2

国立高度専門医療研究センター6機関(国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿医療研究センター)が連携して、研究成果として「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」を公開しています。提言のエビデンスの解説(第2回)を紹介します。
これまでの複数の研究から、野菜・果物の摂取が少ない群において、がんのリスクが増加することが示されていますが、多く摂取するほどリスクが低下するという知見は限られています。野菜・果物の摂取と胃がん罹患との関連をみたコホート研究において、黄色野菜の摂取頻度が週1回未満に比べて週1〜2回、3〜4回、ほぼ毎日摂取する群の胃がんのリスクが摂取頻度に応じて段階的に低下しました。しかし、緑色野菜、他の野菜、果物においては週1〜2回摂取すれば、それ以上頻度を増やしてもリスクの低下は週1〜2回の場合と同等の結果でした。同じコホート集団を用いた研究で、大腸がんにおいて、野菜・果物の摂取と大腸がんとの関連はみられませんでした。
果物の摂取と肺がんリスクについての刊行論文メタ解析では、果物の最低摂取群に対して最高摂取群では0.9倍、1回摂取量あたりでは0.9倍と、いずれもリスクが有意に低下した結果が示されています。一方、野菜・果物の摂取と脳血管疾患、がんとの関連をみたコホート研究では、果物の高摂取により脳血管疾患のリスクが低下したのに対して、がんとの関連は見出されませんでした。
野菜・果物の摂取によるリスクの低下が期待される食道がん、胃がん、肺がんは、いずれも喫煙との関連が強く、食道がんはさらに飲酒との関連が強いがんとなっています。したがって、まずは禁煙と節酒が優先されますが、脳卒中や心筋梗塞などをはじめとする生活習慣病全体をみると、野菜・果物を毎日摂ることが推奨されます。さらに、妊娠中に果物・野菜類を充分に摂取する食生活によって、妊婦の妊娠高血圧症候群の予防にもつながることが示されています。