発達栄養学97 抗酸化成分の見極め方

活性酸素を消去する働きがあるものの代表といえば抗酸化ビタミンの“ACE”(エース)であるビタミンA、ビタミンC、ビタミンEですが、それと同じような働きをするものとして抗酸化成分があげられます。活性酸素はプラスとマイナスの電子のバランスが崩れて、マイナス電子が1つ欠けたものです。活性酸素は抗酸化ビタミンが近くにないときには、人間の細胞からマイナス電子を奪っていきます。
マイナス電子を奪われた細胞は破壊されるわけですが、細胞よりもマイナス電子を奪いやすいものがあれば、そちらから優先的にマイナス電子を奪っていきます。その奪われやすいのが抗酸化成分です。抗酸化成分の代表的なものは植物の色素です。
植物は紫外線を浴びると内部で活性酸素が発生します。植物は紫外線を浴びることによって光合成を行い、たんぱく質を合成します。紫外線を浴びなければ成長できないのに、紫外線を浴びることによって細胞が破壊されたら、やはり成長することができなくなります。そこで植物は内部に色素を溜め込み、これを抗酸化成分として使っています。その抗酸化成分をいただいて、私たちは活性酸素に打ち克とうとしているわけです。
抗酸化成分の色素は、紫外線が強い地域で育つ植物ほど多く発生して、植物の色が濃くなっていきます。トマトやナスの原産地はメキシコです。トマトの色素はリコピン、ナスの色素はアントシアニンという抗酸化成分です。アントシアニンは赤ワインにも含まれています。緑茶などの茶葉にはカテキンが含まれています。
抗酸化成分は体内で酸化しやすい性質があり、自らが酸化することによって細胞の酸化を防いでいます。口から入る前に酸化したのでは、酸化したものを取り入れることになり、まるで活性酸素を取り入れているのと同じことになります。緑茶のカテキンは乾燥した茶葉では安定していますが、お湯を注いだ瞬間から酸化が始まります。お湯を注いでから30分も経過すると完全に酸化しているので、繰り返し飲む場合には、できるだけ早く飲むようにするべきだということです。