落ち着くようにさせるときに、「深呼吸をしなさい」とよく言われます。深呼吸をすると、多くの酸素が取り込まれて全身に送り込まれます。その全身の中には心臓も脳も含まれています。興奮するとドキドキして心臓の鼓動が高まりますが、これは自律神経の交感神経の働きが盛んになっているからで、そのときには心拍数が高まり、血圧が高まり、呼吸数も増えて、呼吸が浅い状態になります。多くの酸素を効果的に取り入れるために呼吸が浅い分だけ呼吸が早くなります。
その状態を切り替えるのが深呼吸で、多くの酸素を取り込むと酸素が行き渡るようになって、自律神経は交感神経優位から副交感神経優位となっていきます。深呼吸は興奮状態になっているときに、精神的に落ち着かせる効果もあって、好循環につながります。
深呼吸は、ただ酸素を吸い込んで息を吐けばよいというわけではなくて、“呼吸”という言葉のように、呼ぶ=吐くが先で、その後に吸うことを意識して行います。口から息を吐き切って、鼻から吸うようにすると多くの酸素が入ってきます。吸ったあとは、すぐには吐かずに息を止めるようにします。鼻から吸うのに3秒をかけて、口から吐くのに6〜10秒をかけます。吐くときには腹筋を意識して、お腹をへこませるようにすると吐き切ることができるようになり、鼻から効果的に吸うことができるようになります。
マスク着用では、この方法を的確に行うことは難しいことから、周囲に他人がいないところで積極的に行うこととなります。
脳の唯一のエネルギー源はブドウ糖ですが、このブドウ糖を使って脳の中でエネルギーを作り出すときには酸素が必要になります。酸素不足ではエネルギーも作りにくくなります。細胞で作り出されたエネルギーは、その細胞でしか働くことができないので、脳を活性化させるためには酸素が必要です。勉強をする前に、少し歩いて酸素を多く取り込むことも大切ですが、じっと動かないでいて集中力が低下してきたときには深呼吸をして酸素を補うことです。