健康寿命延伸のための提言28 提言のエビデンス3食事6

国立高度専門医療研究センター6機関(国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿医療研究センター)が連携して、研究成果として「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」を公開しています。提言のエビデンスの解説(第6回)を紹介します。
肉は魚と並んだ良質なたんぱく質ですが、肉に多く含まれている飽和脂肪酸を摂りすぎると生活習慣病のリスクを高めることになります。牛肉、豚肉、羊肉は赤肉と呼ばれていますが、国際的な評価では赤肉を多く摂取することによって大腸がんのリスクが確実に増加するとされています。
日本人を対象とした研究の系統的レビューによる因果関係の評価では、赤肉や加工肉の多量摂取によって大腸がんのリスクが増加する可能性があると評価されています。日本人の6つのコホート研究を統合した大規模な解析では、男女差はあるものの、牛肉、豚肉、加工肉の摂取量が多いと、特に結腸がんのリスクが増加することが示されています。国際的な基準では赤肉の摂取量は1週間に500gを超えないように、また加工肉の摂取はできる限り少なくするように推奨されています。
ハム、ソーセージ、ベーコンなどの加工肉、フライにされた肉の消費量は近年増加しています。アメリカの女性を対象としたコホート研究で、揚げ物を毎日摂取すると死亡全体のリスクが1.1倍になることが示されています。また、フライドチキンを週1回以上摂取すると死亡全体と循環器病死亡リスクがともに1.1倍に、同様に魚のフライでともに1.1倍になります。8年間のフォローアップ期間中の赤肉・加工肉の摂取量について報告したアメリカのコホート研究では、赤肉の摂取量が1日あたり40gだった人の死亡リスクが10%増加、加工肉の摂取量が1日あたり40gだった人の死亡リスクが13%増加したと報告されています。また、6つのコホート研究を統合した解析では、加工肉や非加工赤肉の摂取量が多い人は心血管疾患や死亡のリスクが高いという研究成果がみられました。加工肉で7%、非加工肉で3%の死亡全体のリスクが増えたと報告されています。