駄菓子は二つに大きく分類されています。一つは郷土駄菓子と呼ばれるもので、麦、ひえ、あわ、豆などの雑穀を材料としたものです。今でこそ雑穀は希少価値から価格が上昇していますが、駄菓子が広まった江戸時代には安価な材料でした。全国各地に今も残る伝統的な郷土駄菓子としては、仙台駄菓子、会津駄菓子、飛騨駄菓子、姫路駄菓子などがあり、歴史的な街の名物の一つにもなっています。もう一つの定義は、高級な上菓子に比べて下級な菓子を指しています。江戸時代から続くかりん糖、あめん棒、鉄砲玉、豆板糖などがあげられます。
江戸時代の駄菓子は、今の菓子のように嗜好品の位置づけではなく、食事代わりの軽食として食べられていました。夕食までに空腹を感じたときに、持参したおにぎりなどを食べるか、道端などの辻売りの駄菓子を買って食べていました。駄菓子は、つなぎの食事の一つで、空腹を紛らわす役目がありました。そのため栄養価が高い雑穀が材料となっていました。
現在の駄菓子というと、子どもが夕食前に空腹を感じたときに食べているシーンが思い浮かべられます。昼食から夕食までに時間があいたときに食べるのは、駄菓子の歴史を今に伝えているのかもしれません。
今の駄菓子のエネルギー量は、1つが40〜60kcalほどで、食事のご飯1杯分が約200kcalであるので、その4分の1から3分の1ほどのエネルギー量となります。駄菓子を1つや2つ食べたからといって、夕食が食べられなくなるようなことはありません。
エネルギー量は少なめであっても、お菓子であるので糖質が使われています。糖質は小麦粉や砂糖などを指していますが、糖質は脳と身体を機能させるためには欠かせないものです。糖質は胃で消化されてブドウ糖に分解されますが、ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源となっています。空腹感は間脳の視床下部にある中枢神経がブドウ糖の変化によって空腹、満腹を感じています。ブドウ糖が不足すると落ち着きがなくなり、イライラするようにもなります。そのため、甘いものを食べると安心感を得ることができるうえに、脳の働きを高めるためにも少量の糖質の摂取は効果的といえます。