吸収率が下がるタイミング
ビタミンやミネラル、脂肪酸、アミノ酸といった必須の栄養素は、食事のあとに摂るのが原則とされています。栄養素は、複合的に組み合わされて吸収され、複合的な組み合わせによって体の中で使われています。そのために、栄養素を効果的に健康の維持のために役立てるためには、食事と一緒に摂ることがよいわけです。
活性酸素を消去する作用がある抗酸化成分や、粘度が高い成分は、胃の中に食べ物があると吸収されにくくなります。こういったものは空腹時に摂るのが基本です。
粘度が高い成分の中で摂取タイミングが特に注目されているのは、膝の状態の改善を目的に使われているグルコサミンやコンドロイチン、コラーゲン、ヒアルロン酸などです。これらの成分は胃の中で水分を吸って溶けて、食べ物に含まれた成分を吸着して大きな塊になります。そのために、吸収されにくくなってしまいます。これらのことから空腹時に摂ることがよいように思われるかもしれませんが、胃腸の状態などが問題になります。
食事で摂った糖質(ご飯、麺類、パンなど)や脂肪の分解や吸収を抑えるサプリメントも基本は食事にあとに摂ります。吸収を抑えるタイプのものを空腹時に摂っても効果がないのは当然のことです。
ただし、有効成分の吸収が目的ではなく、抑制・排泄を目的とするサプリメントの場合は、当然ですが、食前または食事中にとります。たとえば、難消化性デキストリンのように脂肪や糖質の吸収阻害を目的に脂質や糖質を捕まえて消化されないまま排出するサプリメントは、食事の直前か食事中に摂ることが肝要です。
吸収率が低下するのは、サプリメントの成分の組み合わせによっても起こることです。粘度が高いものは、他の成分を吸着させます。中でもキチン・キトサンは脂肪を吸着して吸収させないようにする作用が高いほど粘度が高くなっているので、他のサプリメントの有効成分を吸着して、その成分が吸収されなくなってしまいます。
ダイエット効果を求めて使用されるサプリメントの中に、キチン・キトサンとともに、糖質の吸収を妨げるサラシアや桑の葉、ギムネマ・シスベスタなどを組み合わせたものがあります。脂肪の吸収阻害と糖質の吸収阻害の両方の素材が使われていれば効果的にダイエットできそうな気がするかもしれませんが、キチン・キトサンが他の成分を吸着したら糖質の吸収阻害の効果は期待できなくなります。
このほかにも効き目を弱めたり、逆に効き目を強くさせて思わぬ影響を体に与える成分の組み合わせも確認されています。
サプリメントの中には、こういった組み合わせてはいけないはずのものが、なぜか一緒に使われている製品も見かけます。そんなサプリメントを見抜くためには、成分の特性を知ることが、まずは大切なことです。