日本は「一億総忍者の国」なのか

「○○の国」という表現を日本人は好きなようで、「日出ずる国」から「晴れの国」まで広く使われています。日出ずる国は聖徳太子が小野妹子を隋に派遣したときの書簡にあった言葉だと伝えられていますが、もともと日本の美称として使われていて、今でも日本発祥の素晴らしい文化などを世界に発信していることを指す言葉として使われています。
「晴れの国」という言葉のあとには「岡山」が続きますが、最も晴天が多いのは岡山県ではなくて、関東地方です。晴れの国の岡山は、実は岡山県全体のことではなくて、岡山市のことで、降水量が1mm未満の日が最も多いことを指しています。晴れの時間は長くはなくても雨の時間が短いということですが、イメージ先行で岡山県は晴れている、そのためにフルーツがおいしいということで「フルーツ王国」という言葉も使われています。
ただ、フルーツ王国を名乗っているのは岡山県だけでなくて、山形県、福島県、長野県、山梨県、京都府、大阪府、和歌山県、福岡県、沖縄県などでも使われています。
岡山県つながりで続いて紹介するのは、「一億総忍者の国」です。これは交通事故ZEROプロジェクトとして岡山トヨペットがテレビコマーシャルで打ち出しているもので、YouTubeでも人気が高まっています。信号機のない横断歩道を歩行者が渡ろうとしていても全国で8割のクルマが停車しないという状況である中、なんと岡山県では9割が停車していないということを憂いてのことです。9割と表現されているものの、実際には一時停止したのは7.1%となっています。
横断歩道の一時停止だけでなく、交差点でウインカーを使わずに曲がる、ウインカーを出すのは曲がる直前ということも有名(あまり有名になってほしくはないのですが)で、そのような状況だから、交通事故死亡者数は人口当たりでは日本一になっています。そのようなことで、忍者のような身のこなしをしないと安心して横断歩道も渡れないということを伝える皮肉な内容となっています。