「テレビで放送されていることは事実とは限らない」というのは、ニュースでニセ情報が伝えられるということを言いたいわけではなくて、わざと間違い情報を出していることがあるという話です。ニュース番組で、そのようなことがあってはいけないのですが、ドラマとなると話が違ってきます。
有名な大捜査で指揮をとった警視総監を囲った集まりの席で、隣に座った警視長(警視総監、警視監に次ぐ階級)であった方から捜査あるあるを聞いたことがあります。殺人現場に入るときに靴の上にかぶせて装着するシューズカバーは靴に付着している土や異物を持ち込まないためのもので、鑑識だけでなく刑事も装着しています。これはテレビの世界の話で、実際には違うということでした。
鑑識は、余計なものを現場に持ち込まないように注意して、徹底的に現場に残された証拠物を探していきます。鑑識の作業が終了すれば、その後は他の捜査関係者が立ち入ることが許されます。鑑識が調べているところに刑事が入ってきて、一緒に探しているというシーンは、どの番組でも当たり前のシーンとして登場していますが、それはあり得ないということです。だから、シューズカバーを装着するのは鑑識であって、刑事ではないということです。
いくらシューズカバーを装着していても、多くの人数がズカズカと現場に入り込んだら現場を踏み荒らして、証拠を消してしまうことにもなりかねません。だから、少しくらい証拠を残しても逃げ切れるということはあり得ないのです。
もう一つ、わざとテレビで広めていることは刃物で刺すシーンです。刃物で刺したら、死ぬまでそのままにしておいて、血が完全に乾く前に抜くのが正しい(?)やり方です。刃物で刺して、すぐに抜いてまた刺すというシーンが多く見られますが、そんなことをしたら血が吹き出して犯人が血まみれになります。さらに正しい(?)刺し方は背後に回って心臓を刺す方法だそうで、これなら血を浴びることがなくなります。
そんな方法をテレビで示すのは、犯人に逃れる方法を教えているようなもので、誰もが見るテレビではやってはいけないことです。ということで、テレビでは事実を伝えてはいけないことがあるという話をさせてもらっています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)