学習障害130 生活習慣病の自己努力から考える学習障害

発達障害は本当に障害なのかという議論があります。脳の発達の特徴から凹凸があり、凹の部分が学習障害の原因となっている場合には、欠けている部分を補うことで改善することができます。医療の介入ではなしに、自らの努力で欠けている部分を埋めることができるなら、これは障害でもなく、病気でもなかったと考えることができます。
発達障害、学習障害という診断名がつけられたからといって諦めることはありません。ここで例に出すのは病名がつけられている糖尿病です。“病”という文字がついているので、これは病気だと認識されがちです。健康と病気の間を“未病”として捉える考え方があります。これは日本未病学会によって定義されていることで、検査数値が上昇して薬を使わなければ血糖値が下がらない状態であっても、自分の努力、つまり食事、運動を続けることで合併症(網膜症、腎症、神経障害)が発症しなければ、糖尿病でなかったのと同じように一生涯を過ごすことができます。
糖尿病で使われる血糖値を下げる薬は、それだけでは効果が弱く、食事療法、運動療法を続けたうえで使用することが前提条件となっています。自分の努力で元の状態に戻ることができるのが未病状態で、合併症が出てしまったら自分の力では元には戻れなくなるので、これが病気の段階という考え方をしています。
発達障害を障害としているのは、その障害を自分では超えられないような環境が原因となっています。身体障害の場合には、車椅子で2階に行きたくても階段しかない、サポートしてくれる人もいないという環境こそが障害です。学習障害の場合は凹を埋めるための支援ツールがあって、これを使えば学習障害がないのと同じように学べる、同じとはいかなくても目標を達成するだけの学力を身につけることができれば学習にとっての障害とはならないとの考え方をしています。
学校教育の中で定められた合格ラインでは、残念ながらクリアできなかったとしても、サポートツールを使うことによって他に負けない知識、知恵、子どものときには実感できないかもしれないものの人脈を得ることができたら、これは障害ではなく、その子どもの特徴にしていくこともできるということです。