「知っている人を知っている」と「知っている」は大違いで、間接的に知っているだけでは、あまり役には立たないということを前に書きました。このテーマは思ったよりも反響がよくて、その記憶が残っている人が多いのに、「舌の根も乾かぬうちに」という感じで、「知っている人を知っている」のはメリットだということを書かせてもらいます。前の主張がダメだったということではなくて、状況が変わると「逆もまた真なり」ということです。
人脈を活用して仕事を進めようというときに、実際の紹介をしてもらえるものと思って期待していたのに、知っているのではなくて、知っている人を知っているだけだった、本来の目的を達するためには時間がかかって、間に合わなくなってしまうこともあります。その段階では、流石(さすが)に「逆もまた真なり」と言っている場合ではなくなります。
「知っている人を知っている」ことが大きなメリットになるのはリサーチに関してのことです。日本メディカルダイエット支援機構の理事長は、健康関連の情報をリサーチして、毎週まとめてメールで発信しています。もう11年が過ぎましたが、このリサーチを始めたときには、国の行政機関や研究機関、大学などの多くが情報発信をしていたので、一つひとつ検索していけば探せないことはない、必要なのは時間だけ、という状況でした。
それがネット検索が隆盛になり、まとめサイトが登場しました。これは一つのテーマで、数多くのサイトから検索したことを文章化したもので、調べごとをするには便利だというので一気に広まりました。ウィキペディア(Wikipedia)でも信頼度が問われていた時代に、書き手の判断で情報収集して、書き手が書くだけということで、信頼度を問うどころか、元から信用に値しないということで短期間のうちに消えてしまいました。
著作権の侵害もあり、元々の情報と逆のこと、わざと信用をなくそうとしているのかと思われるような書き方もあって、特に情報を盗まれて、信用が失われるようなことになった各方面からの反発が数多くありました。日本メディカルダイエット支援機構は、ホームページの最新情報のコーナーだけでもバックナンバーに2650本が掲載されていて、全部を合わせると3000本を大きく超えているので、盗みやすかったようで、まとめサイトで“トンデモ情報”として使われたものです。
私たちの原稿執筆のための情報収集は、このデジタルの時代に超アナログです。専門家が蓄積してきた重要な情報ほどネットにはアップされていなくて、それぞれの専門家の保持している情報を知っていることは「知っている人を知っている」ということで、その情報を得ることができる交流をしているから提供してもらうことができます。
今どきに図書館で書籍を当たっているのかと言われるかもしれませんが、各専門業界の資料室は図書館ばりの収集をしていて、しかも整理が行き届いているので、過去の歴史でも世界的な広がりでも興味があることを調べるのにはもってこいです。資料室は都会に多く、その書籍を自分で調べることはできないので、資料室の所属か、そこからの紹介で専門家を紹介してもらうことがあります。この方法はネット時代が始まる前から活用していたことで、まだまだ有効に活用することができます。