食品表示の法律講習で食べられたときがあった

健康食品を販売する会社は5000社はあると言われます。ネット通販は、他で販売している商品を仕入れて販売できるので、ネット通販を加えたら実際の数は想像もつかないことになります。そこで5000社をベースに進めますが、この数は業界紙が発行する年鑑に出ている会社の数です。この年鑑の前年版にあった会社が1年後には1000社ほどがなくなっています。ところが、全体数はほぼ変わりません。ということは、新たに設立されたか販売を始めた会社が1000社もあるということです。
これだけの数の会社が、広告を出したり、通信を発行するなどして販売を始めると、法律違反の文面を目にする機会はいくらでもありました。そして、顧問契約をしたり、社員の講習を求める会社はいくらでもありました。ありましたというのは、東京にいたときの話だからで、健康商品を販売する会社は全国にあって、地方でも相談くらいはあるかと思っていましたが、「これは絶対にプロに聞かないで作ったな」と思われる文面が出回っていても岡山では相談はありません。地方に私と同じ仕事をする人がいるのかと思って調べてみても、出会うことはありません。こういった需要は都市部にしかないのかしれません。
名古屋に出向いたときに、知り合いの紹介で健康食品を販売する会社の方に会いましたが、「サプリメントアドバイザーに相談したから大丈夫」とのこと。サプリメントアドバイザーが健康食品を規制する法律に詳しいのならよいのですが、それは期待薄です。どうして、そこまで言い切れるのかというと、2002年に厚生労働省から「保健機能食品等に係るアドバイザリースタッフの養成に関する基本的な考え方について」という通知が出されたときに、通知を出す側のアドバイスをしていたからで、その内容には法律規制を事細かに教える項目がなかったからです。
この通知に従って、各団体が一般にサプリメントアドバイザーと呼ばれる専門家の養成を始めましたが、法律講習で物足りなさを感じていたことから、私に講師の依頼があったときに徹底して法律講習をすることを申し出て、それを採用してくれた資格認定団体がありました。これを過去形で書くのは、私が講師から離れたあとの講習テキストを見せてもらったら、スカスカの状態になっていたからです。だから、資格認定者に会ったときには、法律のポイントを突っ込んで聞くようにしているのですが、まともな返答を聞いたことは、いまだにありません。
販売する会社を指導するのは諦めて、講習テキストを作りました。これは「サプリメント情報知識検定」という名称で、健康食品の有効性や使い方を詳しく説明すると同時に、販売側の手口を消費者に理解してもらい、正しい商品を正しく使ってもらおうということで、3分の1ほどは法律講習となっています。これを手に入れようと健康食品業界の方々が近づいてきます。受講者を通じて手に入れることを妨害することはできないのですが、できるだけ消費者の利益になることを考えて、業界関係者の耳が痛くなるような本当のことを書き綴っています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)